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(2011年7月1日~)
ホスピス・緩和ケアに関する調査研究報告
2001年度調査研究報告


■ホスピス・緩和ケア病棟の質の評価方法に関する報告<4P>

VI. 日本への導入について

 以上のことから、日本の現状に照らした場合、次のことが考えられる。
監査を行う目的は、全国のホスピス・緩和ケア病棟のケアの質が向上することである。このことを考えた時、まず必要なことは、どこの施設にも共通するガイドライン・スタンダードが必要であるということである。現在の全国ホスピス・緩和ケア病棟連絡協議会で作成されたガイドラインを基にさらに検討を重ねる必要があるだろう。厚生労働省が決めている緩和ケア病棟の開設にあたっての施設基準は、ハードの基準であり、質が保証されるものではない。日本医療機能評価機構が行っている機能評価でも質の評価までカバーすることはできない。これは、この機構でも、提供された個々の医療行為、医療サービスの適切性や質的水準を評価するには、専門家同僚評価(Peer Review)等の別の評価活動が必要である、と述べられている。

 この Yorkshire Hospice Peer Review のシステムをそのまま導入するには、日本のホスピス・緩和ケア病棟では人材もなく困難であろう。しかし、この監査システムの考え方、ツールの基本となっているガイドライン、スタンダードについては、参考にすべきことが多い。多様なホスピス・緩和ケア病棟が増加する前に、早急に、組織作り、運営、ケアの考え方についての指標となるガイドライン、スタンダードを作成する必要がある。現在認可を受けている施設が、どのような運営をしているのか、どのようなチームメンバーで組織され、そのチームが機能しているかどうか、どんなケアがなされているのかというような状況を把握しながら、ガイドライン、スタンダード作りを平衡して行うべきであろう。その上で、それらがどのように実行されているかを評価することになる。評価の方法については、その後、実施可能な方法を検討するということになると考える。

VII. Yorkshire Hospice Peer Reviewに関する今後の検討課題

 今後引き続き次のことについて実施したいと考えている
  1. 日本医療評価機構の評価項目、ホスピス・緩和ケア病棟のガイドライン、施設基準等と監査ツールを比較しながら、ガイドライン・スタンダードとしてどのような内容、項目が必要かを検討する。
  2. イギリスにおける監査の実際を見学し、検討資料に加える。
  3. この調査結果を今後公的機関(全国ホスピス・緩和ケア病棟連絡協議会、厚生労働省など)で活用できるよう具体的に方策を呈示する。
  4. 1については記述項目が多量であることから1~2年期間を要する。長期的な計画が必要であろう。
この調査結果についての報告は、全国ホスピス・緩和ケア病棟連絡協議会の年次大会または、専門委員会に報告させていただければと考えています。

【引用文献】
1.Liz Barker 緩和ケアの質の評価 緩和ケアに求められる質とは 質の保証のための方策は ホスピスケア24 第12巻 第2号 P61 ホスピスケア研究会2001年7月

参考文献

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