(公財)ホスピス財団 メールマガジン「ホスピス財団便り」 vol.1
 
 新型コロナウイルスに罹患された方々、またコロナ禍により生活面等で困難な中におられる方々へ、 心よりお見舞い申し上げます。
 また感染症対策に尽力いただいている保健、医療従事者の方々へ心より感謝申し上げます。
ホスピス財団 理事長 柏木 哲夫
 
新型コロナウィルスへの対応について
 
今月のコラム

大谷 正身 氏
ホスピス財団 事務局長
大谷 正身
  『清潔で、とても明るいところ』
        ・・・・・・・アーネスト・ヘウエイ短編を読んで


 「あなたにとって、いごこち居心地のいいところはどこですか?」と聞かれたら、私たちは何と答えるだろうか。この問いかけに対しての返答は、人によって様々であろう。

 ヘミングウェイの短編『清潔で、とても明るいところ』*1には、老人、若いウエイター、そして年上のウエイターの三人の男性が登場する。舞台は中南米キューバの、とあるカフェである。老人は80歳位、妻に先立たれ、耳は聞こえず、姪といっしょに暮している。彼は、毎晩一人で、カフェに来て、看板まで粘っているので、若いウエイターは、この老人がうっとう鬱陶しくて仕方なく、冷たく対応する。彼は同僚の年上のウエイターに「あんな歳まで長生きしたくねえな。年寄りってのは汚らしいもんな」と愚痴をこぼす。年上のウエイターは答える「わかってないな。ここは清潔で、気持ちのいいカフェだ。照明もゆきとどいている。・・(中略)・・おれが毎晩、店を閉めるのをためらうのは、だれか、このカフェを必要とする人間がいるかもしれない、って気がするからなのさ」。老人と、年上のウエイターにとって、このカフェは清潔で、明るく、居心地のいいところなのである。
 ホスピス・緩和ケアに従事している方々には、このカフェは、ホスピスに要求されている環境であると思い起こされるのではないだろうか。ホスピス緩和ケア白書(柏木哲夫著 青海社)にはホスピスの条件として「明るく」「静かで」「清潔であること」と記されている。そして、この三つの環境は、カフェにとっても、ホスピスにとっても、居心地をよくするための大切な条件であるとこのことを改めて気付かされた。コロナ禍で、様々な制約があり、患者さんにとってはストレスの多い日々を過ごされているのはとは思うが、ホスピス・緩和ケア病棟が、居心地の良いところでありつづけて欲しいと願うものである。

*1 ヘミングウエイ全短編2 高木浩訳 新潮文庫 1996年
     
頁トップへ
ホスピス財団主催・協賛の研修会、セミナー、出版等のご案内
『Whole Person Care教育編』が翻訳出版されました
 
 
『Whole Person Care教育編』の表紙    2016年度に出版した『新たな全人的ケア』(Whole Person Care日本語版)、また2020年度に出版した『Whole Person Care 実践編』(Whole Person Care: Transforming Healthcare日本語版)に続き、その教育編として『Whole Person Care教育編』(MD-Aware日本語版)が発売されました。

■ 訳 者:土屋静馬氏、三好智子氏
■ 監 訳:恒藤 暁氏 
■ 出版元:三輪書店
■ 発 売:ホスピス財団
■ 売 価:2000円(税別)


詳細をみる
頁トップへ
ホスピス・緩和ケア白書2022が発行されました
 
 
『ホスピス・緩和ケア白書2022』の表紙    「緩和ケアの新たな試みと視点」を特集テーマにホスピス緩和ケア白書2022が発行されました。


詳細をみる
頁トップへ
ホスピス財団ニュース42号が発行されました
 
 
ホスピス財団ニュース42号の表紙    ホスピス・緩和ケアフォーラム2021 in 福岡 他、財団関連のニュースを掲載。


詳細をみる
頁トップへ
2023年度調査・研究助成の公募を以下の通り案内いたします
 
 
【趣 旨】
 本財団は、ホスピス・緩和ケアの質の向上と発展に貢献することを目的として2000年12月に設立され、ホスピス・緩和ケアに関する調査・研究、人材育成、普及・啓発および国際交流等の事業を展開しています。今回、2023年度の調査・研究を下記の要領で募集いたします。

【助成課題】
 ホスピス・緩和ケアに関する質の高い多施設共同研究事業、特に緩和ケアの質の向上に関する臨床に有益な研究を歓迎いたします。

【研究体制】
 多施設の共同研究を原則といたします(代表研究者を決めて下さい)

【助成金額】
 1件あたり50~150万円(数件)

【対象者】
 助成課題に意欲的に取り組んでいる研究者

【助成期間】
 2023年4月1日より2024年2月21日まで

【申請期限】
 2022年11月30日必着

【連絡先】
 ホスピス財団

 ※ 募集要項及び申請書類は事務局までお申し出ください。
頁トップへ
情報コーナー
 
 
ホスピス・緩和ケアに関する新聞記事の紹介
 (記事のコピー等をご希望の方はホスピス財団事務局へご連絡ください。)
 
 
・漫画「没イチ」を監修した小谷みどり氏
一般社団法人 シニア生活文化研究所代表の小谷みどり氏が監修したコミック「没イチ」(講談社)がこの度完結したことや、死生学をテーマに活躍されている小谷氏自身の体験を紹介した記事。
(毎日新聞 2022/04/21 掲載)
https://kc.kodansha.co.jp/title?code=1000038758

・「検診自粛で死者増」現実に シリーズ Dr.中川のがんのヒミツ
新型コロナウイルス感染症の増大で、がんの住民検診の受診者数が2019年から2020年で3割以上減少し、このため見かけ上のがん患者数は減っているが、実は早期がんが、進行がんに成長していて、結果的にがん死亡数が多くなることを警鐘する記事。
(毎日新聞 2022/03/28 掲載)

・【死ねない老人】その後・・・滝野隆浩の掃苔機
「死ねない老人」「続・死ねない老人」の著者である、川口市の杉浦敏之医師を訪ねて、インタビューした記事。杉浦医師は、高齢者患者の実情を二つの「死ねない」を指摘している
 1.自分の意思に反して延命治療をされて生かされる。
 2.生きがいを失い、生きたくもないのに死ねない。
コロナ禍の中に出版された「続・死ねない老人」では、副題が「希望の最期を叶え、後悔せずに見送る」とあり、人生の最終段階での医療・ケアについて事前にみんなで話し合うことが大切だと語っている。
(毎日新聞 2022/03/27 掲載)

 注:「死ねない老人」「続・死ねない老人」 幻冬舎 2017年 2021年 880円 (共に在庫切れ)

・がんサーバイバーシップ
1985年に米国のフイッツ・ミュラン医師が提唱したもので、がん診断から最期を迎えるその時までの、中長期的なケアの重要性を訴えたもの。がん患者だけでなく、家族や周囲の人たち、社会全体が協働して実施するもの。がん体験者や医療者、地域住民が立場や世代を超えて体験や思いを共有し、解決に向けて協働する。
(毎日新聞 2022/03/17 掲載)

頁トップへ
 
皆様へのお知らせ
「今月のお便り」の発行頻度を変更し、合わせて名称も変更いたします。
これまで、原則月1回の配信でしたが、諸事情により、今後は、『ホスピス財団便り』として、年4~5回の配信とさせていただきます。ご理解の程よろしくお願い申し上げます。
 
 
■このメールマガジンは、ホスピス財団の賛助会員をはじめ、ホスピス・緩和ケア医療従事者の皆様にお送りしております。また、お知り合いの方々にも転送していただけると幸いです
個人情報の取り扱いについて
■メールマガジンの受信の停止は、こちら からお願いします。
 
発行:ホスピス財団(公益財団法人 日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団)
〒530-0013 大阪市北区茶屋町2-30
TEL:06-6375-7255 FAX:06-6375-7245
mail:hospat@gol.com URL:https://www.hospat.org/
Copyright(c)2014 Japan Hospice Palliative Care Foundation All Rights Reserved.