(公財)ホスピス財団 メールマガジン「今月のお便り」 vol.71
 
 新型コロナウイルスに罹患された方々、またコロナ禍により生活面等で困難な中におられる方々へ、 心よりお見舞い申し上げます。
 また感染症対策に尽力いただいている保健、医療従事者の方々へ心より感謝申し上げます。
ホスピス財団 理事長 柏木 哲夫
 
新型コロナウィルスへの対応について
 
今月のコラム

池永 昌之氏
兵庫大学大学院
ホスピス財団評議員
窪寺 俊之
  患者さんから教えられたこと

 2020.11.8朝刊の見出しに「バイデン氏当選」という言葉が踊りました。アメリカ大統領選挙の混乱ぶりが世界をかけまわっていましたが、結論が出ました。トランプ氏は敗北を認めず、連邦最高裁に提訴すると騒ぎ立てています。ついにメラニア夫人が敗北を認めるように大統領に伝えたと新聞は報じています。トランプ氏の今後の動静に世界は目を見張っています。

 このメールが皆様の目に止まる頃には、トランプ大統領の姿は消えてバイデン氏が新聞の一面を飾っているかもしれません。思い出すのは、『平家物語』の「祇園精舍の鐘の声、諸行無常の響きあり。娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。奢れる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。猛き者もつひにはほろびぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。」です。「奢れる人も久しからず」は、当事者には見えないようで、外野の私たちの心に響いてきます。

 約1400前に聖徳太子が「十七条憲法」(604年)を作りました。その第一条の「和を以て貴しとなす」は有名です。それからずいぶん長い時間が経ちましたが、和解も平和もなく、争いと戦争が続いています。条文には官吏の様子が書かれています。「賄を見て識(うったえ)えを聴く」とあります。賄賂をとって裁判を早くする裁判官(官吏)がいたのに驚きます。それだけではないようです。餮(むさぼり)、諂い(へつらい)や嫉妬、おもねり、媚びる官吏がいたとあります。太子は随分悩まれたのでしょう、ついに「それ三宝に帰せざれば何を以てか枉がれる(まがれる)を直くせん」とあリます。三宝とは仏法僧です。ここに太子のスピリチュアリティが働いたと解釈できないでしょうか。人間の能力や知識を超えたものに助けを求めることです。

 今日の混乱や戦争を考えますと、太子から教えられることは自分を捨てて超越的存在(仏法僧)に自分の身を正す道を見出すということです。世の中は争い、災難、不正、悲劇が満ち、平和、喜び、感謝もないように見えます。しかし、スピリチュアリティを軸に考えると、見える世界は虚しいが、見えない別次元に永遠に変わらない世界を見るという方法です。「信じる」ことで浮かび上がる現実に希望を見るのです。この機能が私たち一人一人の中にあるスピリチュアリティ(霊性)という能力ではないでしょうか。私には、スピリチュアリティ(霊性)は、いかなる危機、いかなる境遇になっても夢や希望を失わないための生得的生命維持装置のように思えます。

 アメリカ大統領もいかなる権力者も直にいなくなるでしょう。宇宙の時間から見たら塵のようでしょう。真のリーダーの姿が見えない時代です。しかし、人類は永遠に残るものや不変のものへの憧れを持ち、それを支えにして生きてきました。目に見えない次元にスピリチュアルな世界があると信じることで安心が与えられます。変わらないものがあると信じられるなら、そこに生きる意味や目的を置いて生きたいと思います。

 私が淀川キリスト教病院のチャプレンをして患者さんから教えられた最大のことは、スピリチュアルな世界を信じることの大切です。その人たちは、苦しさや悔しさの中で人生と闘った人たちです。いや、自分の人生が目に見えない大きな命や法則の中にあることを信じてそこに人生を委ねた人たちでしょう。そこから得た大きいものを見せていただきました。スピリチュアルな世界にいる自分を見つけた安心、自分の小ささを認めた謙遜、生かされていることへの感謝。私もスピリチュアルな世界を信じて、よりよい未来を作る働きに加わりたいと望みます。
     
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ホスピス財団主催・協賛の研修会、セミナーのご案内
「ともいき京都」がオンラインで開催されています
 
 
ともいき京都のロゴマーク    ホスピス財団協賛の「ともいき京都」は、がんを体験した人、家族や親しい人達が、日頃の思いや悩みを語り、医療の専門職が一緒に対話をする場です。
 
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★また、ともいき京都5周年記念シンポジウムが11月23日(月・祝)にオンラインで開催されました。録画は以下でご覧いただけます。(最初14分間は案内のみで、その後始まります)
https://www.youtube.com/watch?v=ircKH3c21qI&feature=youtu.be

ともいき京都5周年記念シンポジウムのチラシ
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以下のホスピス財団主催の研修会、セミナーは中止または延期となりました
ホスピス財団 20周年記念講演会
 
 
 新型コロナウイルス感染予防のため 9月18日の講演会は中止。
 
 
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Whole Person Care ワークショップ2020
 
 
 Whole Person Care ワークショップ『9月5日(土)9月6日(日)』は
 新型コロナウイルス感染予防のため中止。(次年度は未定)
 
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ホスピス財団 第4回国際セミナー
 
 
 新型コロナウイルス感染予防のため 9月20日、21日開催予定のワークショップは 中止。(次年度は未定)
 
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お知らせのコーナー
ホスピス財団ニュース39号が発行されました
 
 
ホスピス財団ニュース39号の表紙    ホスピス財団20周年を記念して、これまでの歩みを写真で辿りました。
 
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日本 Whole Person Care 研究会が発足しました
 
 
日本 Whole Person Care 研究会のラベル    日本 Whole Person Care 研究会が発足し、第1回研究会が8月1日(土)WEBにて 開催されました。
研究会での講演は、ホスピス財団ホームページにて公開されています。
 
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『 Whole Person Care 実践編 』 ー医療 AI 時代に心を調え、心を開き、心を込めるーが発刊されました
 
 
『 Whole Person Care 実践編 』の表紙    本書は Whole Person Careに関するホスピス財団発行が発行する2冊目として、既刊『新たな全人的ケア・・医療と教育のパラダイムシフト』に続いて、6月より三輪書店より全国で発売されています。
医療に携わる方々を始め、医学生、看護学生の皆様、ホスピス緩和ケアに関心のある方々、 是非ご一読ください。

 
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J-HOPE4が発行されました
 
 
J-HOPE 4 の表紙    世界的に質の高い研究として国際的にも評価されている調査・研究が、この度 J-HOPE 4 としてまとめられました。
 今回は付帯研究が50題と充実していますので、是非ご覧ください。
ホームページでも公開しておりますが、ご希望の方には 1000 円で頒布いたします。(ホスピス財団賛助会員には無料で送付しております)

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第20期事業報告書が発行されました
 
 
大20期事業報告書 の表紙    2019年度の事業内容が事業報告書としてまとめられました。
ホームページで公開しております。

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『新たな全人的ケア・・医療と教育のパラダイムシフト』
 
新たな全人的ケアの表紙  
 「Whole Person Care:A New Paradigm for 21Century」(Springer 社 2011年)の日本語訳として『新たな全人的ケア:医療と教育のパラダイムシフト』を青海社より全国で発売中です。
 Whole Person Care とはカナダ、マギル大学医学部で開発された、新しいケアの概念であり、従来の考え方を根本的に変えるアプローチです。
 是非、ご一読ください。
 
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情報コーナー
情報コーナー
コロナ新時代への動画メッセージ(日本死の臨床研究会主催)が公開されています
 
   今年の日本死の臨床年次大会は延期となりましたが、中橋・井上両大会長と世話人代表の髙宮よりの動画メッセージに加えて、特別講演として、ホスピス財団理事長の柏木哲夫氏の興味深い動画講演が紹介されていますので是非、ご覧ください。
  特別講演
「コロナと距離~人と人との距離」
日本死の臨床研究会顧問 柏木哲夫氏

“患者にはその日その日の距離がある。”  川柳:柏木哲夫氏




ホスピス・緩和ケアに関する新聞記事の紹介
 
・書評「患者の話は医師にどう聞こえるか」 養老孟司・評
著者は米国ベルビュー病院のプライマリーケアに係る女医。患者の話を余すところなく聞く大切さを患者とのエピソードを交えながら記されている書物を養老氏が評している。
AI医療やリモート医療が拡がる中で、看過できない重要な視点を与えてくれると紹介。
(毎日新聞 2020/11/21 掲載)

・がん10年生存率58.3%
国立がん研究センターが、5年生存率、10年生存率の新しいデータを公表したことを紹介した記事。がんの部位別で大きな差があり、またステージⅠとⅣでも大きな差が示されている。
(毎日新聞 2020/11/20 掲載)

詳細は、以下で公表されている。
http://www.zengankyo.ncc.go.jp/etc/

・死の迎え方 先駆け研究
お葬式や、死生観の研究者のパイオニアであり第一人者、小谷みどり氏(シニア文化研究所代表理 事・ホスピス財団 事業委員)が、社会人5年目のときに“死についての研究”を始められ、以後 、現在に至るまでの苦労や歩みを紹介した記事。
(読売新聞 2020/11/15 掲載)

・笑顔で広めた「死生学」
「死生学」をライフワークとし、日本に広めたことで知られる、アルフォンス・デーケン神父(2020年9月 逝去)の生涯を紹介した記事。緩和ケア医の山崎章郎氏は神父のセミナーに参加し多くを学ばれた一人であり、「先生にお会いしていなかったら、今の自分はない」と語っておられる。
(読売新聞 2020/11/11 夕刊掲載)

・大切な死者の尊厳・・・散骨や墓じまいに関して
日本環境斎苑協会が、「散骨ガイドライン」の公表を検討しているが、「死者の尊厳」を考えるべきという意見もあり、葬儀の方法の多様性についての意見が紹介されている記事。
(毎日新聞 2020/11/01 掲載)

・終末期、4割が苦痛を感じている
国立がん研究センターが、全国5万人の遺族を対象にした調査によると、がんに伴う身体的苦痛を感じた人は47.2%であったということ。また痛みが少なく過ごせた割合では、緩和ケア病棟が59.5%で、一般病棟の42.8%と差が認められた。
(毎日新聞 2020/10/31 夕刊掲載)

調査結果は以下のサイトを参照ください。
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2020/1031/index.html
 
 
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