(公財)ホスピス財団 メールマガジン「今月のお便り」 vol.69
 
 新型コロナウイルスに罹患された方々や、今夏の水害により生活面等で困難な中におられる方々へ、
心よりお見舞い申し上げます。
 また感染症対策に尽力いただいている保健、医療従事者の方々へ、災害復旧にご労されている方々へ
心より感謝申し上げます。
ホスピス財団 理事長 柏木 哲夫
 
新型コロナウィルスへの対応について
 
今月のコラム

溝渕 雅幸氏
映画監督
溝渕 雅幸
  「結びの島」を撮り終えて

 コロナ禍が続く中、世間は色々と騒がしい。この間、水際で活動を続ける医療従事者の方々には心からの感謝を捧げたい。また、病に斃れられた方々とそのご家族には心からの哀悼の意を捧げます。
 様々な報道が為される中、心が痛むのは、お亡くなりになった方々が、臨終の時を大切な人と迎えられなかったということだ。このような悲しい現実を目の当たりにして、思いを巡らせるのは、新作映画の制作過程で私自身が改めて蒙を啓かれた過程である。
 本作の主人公は、山口県の周防大島で在宅医療に力を注ぐ岡原仁志さん。父親の病院を継ぐために平成十五年に島に帰ってきた。彼の診療活動はユニークかつユーモアに溢れているのだが、「少しやりすぎ?」と感じないでもなかった。帰ってきた当初はクリニクラウンに扮しての往診、時にはナースのコスプレなど…、さらに患者やその家族とのコミュニケーション方法に『ハグ』を取り入れるなど。この様な診療活動が、極端に高齢者の多いこの島では直ぐに受け入れられたわけではない。私も取材開始当初は引き気味であった。
 本作では二十か月という長期間にわたる取材を敢行したのだが、その過程で私の見方は少しずつ変わっていった。劇的だったのは、岡原さんの在宅医療を受けて自宅で母親を看取った女性との出会いだった。彼女は見ず知らずの取材班を自宅招き入れ、寒い時期には熱いコーヒーを暑い夏には冷たいものを振舞ってくれた。その時々に、彼女は姉妹で看取った母親のことを語ってくれた。
 岡原さんは在宅医療で最も大切なことは家族の援助に尽きるという。介護の家族力が乏しい時にはどうすればよいか?自宅での療養や認知症などが原因で家族間のコミュニケーションが難しくなっているときはどうすればよいのか?彼の答えは医療者が橋渡しをするということ、病気を診るだけではなく人を診る、そして家族をも診るということだ。
 岡原さんのようなアプローチは万人に出来ることではない。特にこの国においては身体接触を伴うコミュニケーション手法にアレルギーがある。しかし、その根底にある考え方が患者やその家族にとって意味のあることであれば、思いは相手の心に通じるのだ。出来るだけスマートにと考えていた私の対人関係に関する考え方の根本を揺るがせたのは岡原さんの『ハグ』を伴うアプローチ手法であった。
 このコロナ禍にあっては、コミュニケーションあり方が問われている。感染を防止するという観点からは至って当然ということでもある。しかし私は敢えて今、大切な事は何か?を見つめ直していきたいと考えている。

映画「結びの島」は10月から全国で順次上映予定。

映画『結びの島 』のポスター
     
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以下のホスピス財団主催の研修会、セミナーは中止または延期となりました
ホスピス財団 20周年記念講演会
 
 
WholePersonCare ワークショップ2020のチラシ    新型コロナウイルス感染予防のため、9月18日の講演会は中止となりました。何卒ご理解下さい。
 
 
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Whole Person Care ワークショップ2020
 
 
WholePersonCare ワークショップ2020のチラシ    Whole Person Care ワークショップ『9月5日(土)9月6日(日)』は新型コロナウイルス感染予防のため、次年度へ延期となりました。何卒ご理解下さい。

 2021年度の開催については、決定しましたらホームページ等でお知らせいたします。
 
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ホスピス財団 第4回国際セミナー
 
 
ホスピス財団 第4回国際セミナーのチラシ   Whole Person Care対話型ワークショップ

9月20日、21日開催予定のワークショップは Hutchinson 先生の来日が困難と判断し、次年度に延期させていただきます。
実施時期については、決定しましたらホームページ等でお知らせいたします。
 
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お知らせのコーナー
日本 Whole Person Care 研究会が発足しました
 
 
日本 Whole Person Care 研究会のラベル    日本 Whole Person Care 研究会が発足し、第1回研究会が8月1日(土)WEBにて 開催されました。
研究会での講演は、ホスピス財団ホームページにて公開されています。
 
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『 Whole Person Care 実践編 』 ー医療 AI 時代に心を調え、心を開き、心を込めるーが発刊されました
 
 
『 Whole Person Care 実践編 』の表紙    本書は Whole Person Careに関するホスピス財団発行が発行する2冊目として、既刊『新たな全人的ケア・・医療と教育のパラダイムシフト』に続いて、6月より三輪書店より全国で発売されています。
医療に携わる方々を始め、医学生、看護学生の皆様、ホスピス緩和ケアに関心のある方々、 是非ご一読ください。

 
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溝渕雅幸監督 いのちに寄り添うシリーズの三作目が近日上映されます
 
 
映画『結びの島 』のポスター    ホスピス財団が後援している、シリーズ三作目「結びの島」が、いよいよ10月より全国で上映されます。
人口17000人の山口県周防大島の複合型介護施設のカメラが入り、 豊かな老後を過ごすための医療や介護の在り方のヒントを与えられる作品です。

 
予告編、上映予定など 詳細はこちら
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J-HOPE4が発行されました
 
 
J-HOPE 4 の表紙    世界的に質の高い研究として国際的にも評価されている調査・研究が、この度 J-HOPE 4 としてまとめられました。
 今回は付帯研究が50題と充実していますので、是非ご覧ください。
ホームページでも公開しておりますが、ご希望の方には 1000 円で頒布いたします。(ホスピス財団賛助会員には無料で送付しております)

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第20期事業報告書が発行されました
 
 
大20期事業報告書 の表紙    2019年度の事業内容が事業報告書としてまとめられました。
ホームページで公開しております。

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『新たな全人的ケア・・医療と教育のパラダイムシフト』 好評発売中
 
新たな全人的ケアの表紙  
 「Whole Person Care:A New Paradigm for 21Century」(Springer 社 2011年)の日本語訳として『新たな全人的ケア:医療と教育のパラダイムシフト』を青海社より全国で発売中です。
 Whole Person Care とはカナダ、マギル大学医学部で開発された、新しいケアの概念であり、従来の考え方を根本的に変えるアプローチです。
 是非、ご一読ください。
 
詳細をみる
 
 
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情報コーナー
情報コーナー
コロナ新時代への動画メッセージ(日本死の臨床研究会主催)が公開されています
 
   今年の日本死の臨床年次大会は延期となりましたが、中橋・井上両大会長と世話人代表の髙宮よりの動画メッセージに加えて、特別講演として、ホスピス財団理事長の柏木哲夫氏の興味深い動画講演が紹介されていますので是非、ご覧ください。
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「コロナと距離~人と人との距離」
日本死の臨床研究会顧問 柏木哲夫氏

“患者にはその日その日の距離がある。”  川柳:柏木哲夫氏




ホスピス・緩和ケアに関する新聞記事の紹介
 
・妻の最後の恋文
乳癌で61歳の妻を亡くした男性が、妻から最後に受け取った手紙を紹介した記事。24年間に亘った闘病生活であったが、支え合い、夫婦で歩んだ幸せな人生に心打たれる記事である。
(毎日新聞 2020/08/12 掲載)

・ALSの医師が紡いだ言葉
ALS当事者で医師の竹田主子(きみこ)氏が嘱託殺人事件について寄稿された2回の記事。 安楽死の法制化についても反対を表明されている。
(毎日新聞 2020/08/10・11 掲載)

・生きてる間につかいたい
シニア文化研究所の小谷みどり氏(ホスピス財団事業委員)が高齢者に元気を与える講演を行いつつ、私財と投じてカンボジアのプノンペンにパン工房を立ち上げ、現地の人々の経済的自立を支援する活動を紹介した記事。
(毎日新聞 2020/08/09 掲載)

・鎌田 實先生の「PPH」
医師で作家の鎌田實氏の新刊「コロナ時代を生きるヒント」を紹介した記事全国の「死と向き合う人たち」を訪ね回った旅の記録である。そしてコロナ禍の中にある日本人は「死」を直視し始めたと論じ、「PPH(ピンピンひらり)」を提唱されている。
(毎日新聞 2020/08/05 掲載)

・終末期「人生会議」の意義
「人生会議」と呼ばれているACP(アドバンス・ケア・プラン)に関しては分かりくいことも多いが、その正しい理解について、3人の専門家のコメントを紹介した記事。
(読売新聞 2020/08/05 掲載)

 
 
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★今月のお便り10月号は、ホスピス財団ニュース39号が発行されますのでお休みとさせていただきます。
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