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(2011年7月1日~)

ホスピス・緩和ケアに関する調査研究報告
2006年度調査研究報告
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新臨床研究制度における緩和医療教育プログラムの作成と提言
京都大学医学部付属病院老年内科
西岡 弘晶


I 調査・研究の目的・方法


 我が国では、国民のホスピス、緩和ケア、終末期医療への関心の高まりに加え、緩和ケア病棟入院料算定などの医療保険制度の改変によって、 近年ホスピス・緩和ケア病棟が増加している。しかし日本ホスピス緩和ケア協会の調査によれば、こうした病床数の増加にもかかわらず、 ホスピス・緩和ケア病棟で死亡するがん患者は、がん死亡数全体の3.3%にすぎず、がん患者の90%は一般病棟で亡くなっていると推定されている。 また我が国の悪性新生物による死亡は全死亡数の約3分の1であることを考慮すると、ほとんどの方は一般病棟や在宅で亡くなっていることになる。 現在、緩和ケア・緩和医療は、がん患者だけではなく、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、 疾患の早期より提供されるべきもの、と考えられるようになった。つまり、緩和ケア・緩和医療の対象となる患者や家族は、 一般病棟や療養型病床、高齢者施設、そして在宅にも数多く存在している。 これらを考えると、多くの医師が、卒前、卒後の早い時期に緩和医療について学び、症状コントロールの方法などを習得することは、 患者のQuality of Life(QOL)の向上や我が国の医療の質の向上にとって極めて大切なことであると思われる。
 そのような中、平成16年度より新臨床研修制度が始まり、大学医学部卒業後の2年間は、 スーパーローテーション方式による初期研修を行うことが義務化され、 緩和ケアの研修を行うことが、その学習目標の1つとして挙げられるようになった。この研修制度において、 研修医に対しどのような緩和医療教育を行うかは重要な課題であるが、現在のところ確立したプログラムはなく、 その研修がそれぞれのローテーションした診療科やその指導医に任されており、十分な研修が行われていないのが現状である。
 また緩和ケア病棟やホスピスを有する研修病院は少なく、一般病棟においてどのように緩和医療教育を行っていくかを、重要な問題である。 本調査研究では、より効果的で実現可能な緩和医療教育プログラムを検討するための基礎資料を得ることを目的として、 平成18年度に京都大学医学部附属病院(以下、京大病院)やその関連病院において、新臨床研修制度による卒後研修 を行っている初期研修医と後期研修医を対象に、 アンケートによる調査を行い、卒後初期研修における緩和医療教育についての実態調査を行った。

II 調査・研究の内容・実施経過


 初期研修医と後期研修医を対象に、1)研修医の属性、2)緩和医療研修の経験、3)京大病院での緩和医療研修に関する意見、 4)厚生労働省が提案する研修方法に対する意見、5)緩和医療の知識などを問う、無記名式のアンケート用紙を作成した。このアンケート用紙を、 平成18年10月、京大病院で研修をしている初期研修医121名には卒後研修センタ-に設置されている各人のメールボックスに配布、 後期研修医64名には各診療科を通じて配布した。関連病院で研修をしている初期・後期研修医112名には、アンケート用紙を郵送で配布した。 京大病院では、卒後研修センター、および主な研修医室に回収ボックスを設置するとともに、郵送や院内便による回収を試みた。関連病院では、 郵送による回収を試みた。住所変更等があった場合も、わかる範囲で追跡し郵送した。京大病院、関連病院ともに、1回目の配布の約3週間後に、 回答をお願いする用紙を配布または郵送した。平成18年11月より、アンケートの集計および解析を行った。集計はMicrosoft Excelを用い、 データ解析には統計解析ソフトSPSS 10.0J を用い、全ての解析で有意水準は、p<0.05とした。 br="">