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(2011年7月1日~)
ホスピス・緩和ケアに関する調査研究報告
2002年度調査研究報告


■ホスピス及び緩和ケアにおけるソーシャルワーカーの業務実態とガイドライン作成についての研究
 山口県立大学
 正司 明美


1. 研究の目的

 日本の保健・医療機関におけるソーシャルワーカーの業務上の位置付けは、非常に不確定であり、その背景として[1]ソーシャルワーカーの日常の相談業務について、診療報酬上の評価がないこと、そのため[2]国家資格として専門職として位置付けられた社会福祉士や精神保健福祉士の資格を取得していても、保健・医療領域において、その専門性の価値を量る基盤がないこと、があると考えるが、この状況は依然として続いており、現在のところ、進展する動向にはない。
 一方、ホスピス・緩和ケアにおけるソーシャルワーカーの位置付けは、実際上は緩和ケアチームの一員として、その必要性について施設単位では認識されているものと思われる。厚生科学研究「緩和医療供給体制の拡充に関する研究」班による緩和ケア病棟承認施設における施設・設備に関する調査(2000年7月)結果[参照1]によると「職種別病棟スタッフの配置状況」のうち、ソーシャルワーカーの配置について、専任が24%、兼任が59%であった。調査回答施設78施設の83%にMSWが配置されていた。また、2002年7月に全国ホスピス・緩和ケア病棟連絡協議会(以下連絡協議会)が年次大会において公表した「緩和ケア病棟承認施設要覧」[参照2]における「入院問い合わせ」窓口として、承認施設103施設のうち25施設がソーシャルワーカーの部署(MSWや医療福祉相談室として明確化されていたもの)であった。
 しかし、診療報酬上は、緩和ケア病棟入院料として算定される「緩和ケア病棟の施設基準」にソーシャルワーカー配置は規定されていない。また、2002年度の診療報酬改定により、一般病床等で、緩和ケアを要する患者に対して、症状緩和に係る専従チームにより診療が行われた場合に入院基本料に緩和ケア診療加算として加算されることになった。この専従チームについて厚生労働省は、以下の3名から構成されるとして、[1]身体症状の緩和を担当する常勤医師、[2]精神症状の緩和を担当する常勤医師、[3]緩和ケアの経験を有する常勤看護師としている。ここでも、ソーシャルワーカーについては、専従チームとして認識されない。ここでいう症状緩和とは、緩和ケアを要する患者に生じる様々な症状をcureの対象と見た場合の算定である。しかし実際は、患者が家族の問題や生活上の問題など社会的、心理的な問題が原因となって、身体的症状を引き起こすことも多い。対症療法ではなく、これらの原因を解決しなければ、患者の真の精神的安定は図られないことも多いのである。これらの問題に、ソ-シャルワーカーは関わっていながら、その活動は十分認知されているとはいえない。
 本研究は、ホスピス・緩和ケアにおけるソーシャルワーカーの業務や役割が、社会的に認知されるために、また、ソーシャルワーカーも、自らの業務を検証し発展させるために、自己評価の基準としての「業務のガイドライン」作成を目的に行うものである。2001年度に行った調査・研究「アンケートによる緩和ケア病棟承認施設におけるソーシャルワーカーの実態調査」に引き続き、本年度は、二つの方法で、ソーシャルワーカーの業務実態とガイドラインの枠組みについての考察を行う。

2. 研究方法

1) 1983年に発刊されたアメリカの「Hospice Care」に掲載されたNina Millettによる「Hospice:A New Horizon for Social Work」を参考に緩和ケアにおけるソーシャルワーカーの専門性について検討する。本論文は、20年前に発表されたものであるが、ホスピスケアにおけるソーシャルワーカーの役割としての視座は、日本でのホスピス・緩和ケアにおけるソーシャルワークを定着させるために現在もなお多くの示唆を与えるものと思われるので、検討の対象とした。
2) 全国ホスピス・緩和ケア病棟連絡協議会に登録したA会員施設及びB会員施設のソーシャルワーカーを対象に、「全国ホスピス・緩和ケア関連施設ソーシャルワーカー懇談会」を実施し、業務における問題や課題について検討する。


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