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(2011年7月1日~)
ホスピス・緩和ケアに関する調査研究報告
2002年度調査研究報告


■ホスピス・緩和ケア病棟のケアプログラム基準案作成と
 ホスピス・緩和ケア病棟看護職カリキュラム作成に関する報告<2P>


3. 「ホスピス・緩和ケア看護職の教育カリキュラム」

1. 目的
 近年、ホスピス・緩和ケア病棟の整備が進み、施設数が急増している。施設面での整備は整っているが、そこで勤務するスタッフの教育は十分に行われておらず、提供されるケアの質は実に様々である。そのため、全国ホスピス・緩和ケア病棟連絡協議会(以下、協議会と略す)では、わが国のホスピス・緩和ケアの質的向上の発展には、教育システムの整備が必要不可欠と考え、その第一歩として『ホスピス・緩和ケア病棟教育カリキュラム(多職種用)』を作成し各施設に配布した。また、協議会A会員施設看護師長会では、2000年12月に実施した『看護状況調査』及び『施設外からの看護婦研修に関する実態調査』の結果より、質の高いケアの実践はもちろんのこと、研修生の受け入れに際しても、教育指導できる看護師が不足していること、継続的な教育プログラムが整備されていないことが明らかとなった。このような現状に鑑み、『ホスピス・緩和ケア病棟教育カリキュラム(多職種用)』に加えて、看護師の教育カリキュラムの作成が必要であると考え、今回、看護師用カリキュラムの作成に取り組んだ。

2. 方法

 第1段階
 『ホスピス・緩和ケア病棟教育カリキュラム(多職種用)』を基盤として、1996年2月に英国上院から出された『パリアティブ・ケアにおける教育』、日本の看護大学等で使用されている終末期看護に関する教科書、研究者の施設で実施されている教育プログラムの内容などを参考に看護師に必要な知識を抽出し研究者間で検討した。また、現状のホスピス・緩和ケアにおける看護師の臨床経験、平均在職年数などを考慮し、3年間でこの領域においてエキスパートナースとなれることをゴールとしたカリキュラムにすることで合意を得た。年度ごとの到達目標は、「1年目:患者の個別性・ニードを理解する。チームで情報を共有する。2年目:予測性を持ち、個別性のあるケアを実践する。家族へのケアができる。3年目:全人的なアプローチができる。倫理的な判断ができる。ケアのコーディネーションができる。」とし、『ホスピス・緩和ケア看護職カリキュラム(案)』を作成した。2002年7月に行われた協議会教育研修委員会及びA会員施設看護師長会で、作成したカリキュラム(案)について説明を行い、カリキュラム項目に関する意見、カリキュラム運用に関するアンケート調査を行った。


3. 結果
 アンケートは、104施設の看護師長宛てに配布し、52施設(50%)の回答を得た。ホスピス・緩和ケア病棟の開設後年数は、平均4.1年、平均病床数19.5床、平均看護師人数15.7名、教育プログラムの有無については、有る16施設(31%)・無い17施設(32%)・準備中16施設(31%)であった。カリキュラム案については、3段階の到達目標について、適切であるが42施設(80.1%)・不適切である1施設(2%)・その他が8施設(17%)であった。不適切と答えた理由は、“早期に3年目の目標を達成しおかなければ、3年目には勤務異動となってしまう”ということであった。教育内容の項目立てについて、加えた方が良い項目に、14件の意見があった。また、削除しても良いと思われる項目については2件あった。自施設で教育の実施が困難と思われる項目は、スピリチュアルペイン・HIV/AIDSを始めとする17項目があった。教育カリキュラムの実施を阻害する要因については、[1]指導する人材に関すること(人材の不在・養成困難) [2]教育の為の時間確保困難 [3]教育方法・評価に関すること [4]スタッフ構成や学習に対するモチベーションに関すること(短期間の人事異動・経験の差異等によるマイナス影響)が挙げられていた。(詳細は、資料2参照)

  第2段階
 以上のような結果を踏まえて、ホスピス・緩和ケア領域で勤務する看護職に必要とされる知識を明確にし、それぞれの施設で看護職の教育プログラムを作成する際の基盤となるカリキュラムの作成を目的とした。カリキュラム作成に際しては、American Medical Associationにより実施されている『Education for Physician on End-of-life Care』のプログラム内容を検討し、カリキュラムの展開に関する考えの参考とした。また、昨年4月の診療報酬改訂にともなって緩和ケアチームの活動が行われるようになったことや、在宅における緩和ケアの更なる充実が求められていることなどから、施設内に限らず、広くホスピス・緩和ケアに従事する看護職が活用可能な教育カリキュラムであることも考慮した。その結果、それぞれの項目をモジュールとして捉え、その時々に必要項目を学習できるように配慮した『ホスピス・緩和ケア看護職カリキュラム』(添付資料3)を作成した。


4. 今後の課題
 このカリキュラムは、その目的からホスピス・緩和ケア病棟で働く看護師が必要とされる知識・技術を網羅する形で構成している。このため、それぞれの大・中項目の妥当性、内容の妥当性や抽象度などに関しては、今後も検討を重ねる必要がある。一方、看護師長会のアンケート結果にも最も多く記されていたことは、カリキュラム運用に関することである。現在、看護職に関しては、1996年より日本看護協会ががん看護専門看護師の認定、ホスピスケア認定看護師及びがん性疼痛認定看護師の教育・認定を行っているが、こうした専門的知識を備えた看護師の数は少なく、しかもホスピス緩和ケア病棟で勤務する専門看護師、認定看護師の数はわずかである。また、緩和ケアナース養成研修など中期研修も行なわれているが、施設によってはこのような研修への派遣が難しい現状である。 以上述べたような日本の状況を考えると、まずは、今回作成した教育カリキュラムに基づく各施設での教育プログラムの作成と実施が不可欠である。次に、各施設での看護師教育を基盤として、自己学習をサポートするための参考文献の提示や文献サービスの充実、協議会等における地域別の合同教育システムの確立、ホスピス・緩和ケアに関する教育・研究施設の設立などが切に望まれる。(田村恵子、二見典子)

4. 今後の課題

 以上、報告したように、このケアプログラムの基準案、看護師教育カリキュラムについては、今後協議会の専門委員会、看護師長会議等との協力の下に実用できるものとして検討を重ねて行く予定になっている。

5. 調査・研究の成果等公表予定

 協議会の評価基準検討委員会、教育研修委員会に報告し、さらに検討を重ね、平成15年度全国協議会総会で発表したいと考えている。



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