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(2011年7月1日~)
ホスピス・緩和ケアに関する調査研究報告
2001年度調査研究報告


■遺族ケアのニーズと現状に関する基礎調査研究
 ― サポートグループの評価と教育的介入の試み ―
 淀川キリスト教病院看護師
 高山 圭子




はじめに

 世界保健機関(WHO)によると、緩和ケアの要素として「患者と死別した後も、家族の苦難への対処を支援する体制をとること」が明示されており、遺族ケアはホスピス・緩和ケアの重要な働きの一つであると言える。わが国のホスピス・緩和ケア病棟における遺族ケアは、各施設の裁量に委ねられており多様であり、その主な内容はカード送付や年1、2回の追悼会であると報告されている(松島・赤林・西立野, 2000)。また、他の遺族ケアプログラムとして、サポートグループやセルフヘルプグループの活動が、いくつかの施設で行われはじめている(蛭田, 2001; 松島・赤林・西立野, 2001)。

今後、ホスピス・緩和ケアにおいて、より効果的かつ有用な遺族ケアプログラムを提供する上で、その基盤となるデータの蓄積が必要である。しかし、各プログラムのニーズや内容、効果等に関する系統立った調査研究は少ない。そこで本研究では、まず研究1において、遺族のサポートグループの現状を分析し、ホスピス・緩和ケアにおける遺族ケアプログラムの一つとしてのサポートグループのあり方について検討する。さらに研究2では、ホスピス・緩和ケアにおける新たな遺族ケアプログラムの試みとして、教育的介入プログラムを実施し、その有効性について検討する。わが国では遺族への教育的介入はほとんど行われていない。数少ない報告の一つとして、河合(1997)が配偶者と死別した中高年を対象に実施した連続講座による教育的介入では、精神的健康に対する有意な介入の効果が認められている。

研究1

■目的・方法
 サポートグループに参加経験のある遺族を対象に質問紙調査を行い、サポートグループに対する期待や評価、参加して良かったこと、参加しなくなった理由などについて明らかにし、サポートグループの今後のあり方について検討する。

■内容・実施経過
1. 遺族のサポートグループ「すずらんの会」の概要
 淀川キリスト教病院ホスピスでは、遺族ケアプログラムの一つとして、遺族のサポートグループ「すずらんの会」を1998年10月に開始した。会の名称にある「すずらん」の花言葉は「幸福の再来」であり、遺族が悲しみを乗り越えて再出発できることを願うスタッフの思いが込められている。この会は、遺族同士が体験や気持ちを語り、分かち合うことでお互いに支え合い、悲しみを乗り越える力を高めることを目的とし、死別後3カ月以上が経過した遺族を対象に、オープンエンド形式で毎月1回開催している。運営は担当のホスピスナース数名が中心となって行い、会ごとに交代でその中の一人がファシリーテーター役を務める。会では、広報報「すずらん新聞」を年1回発行している。最新号によると、1998年10月~2001年3月の29カ月間で延べ115名の遺族が参加している。参加者は女性が81%と圧倒的に多く、故人との続柄は配偶者喪失者が82%であった。

2. 対象と調査方法
 淀川キリスト教病院ホスピスにて、「すずらんの会」の活動を開始した1998年10月から2001年8月までに、会に参加した74名の遺族を対象に、郵送による無記名・自記式の質問紙調査を実施した。調査時期は2001年10月である。74名中52名から回答が得られ、回収率は70.3%であった。  回答者52名における故人との続柄は、配偶者が37名 (71%)、子どもが8名 (15%) 、兄弟姉妹が3名 (6%)、親・甥・婿・不明が各1名 (2%)であった。性別は男性が17名 (33%)、女性が34名 (65%) 、不明が1名 (2%) であった。年齢は24~82歳で平均59.9歳 (SD=12.1) であった。

3. 調査内容
 本研究では、遺族のサポートグループに関する以下の事柄について尋ねた。

(1)初参加のときの期待
(2)会の内容に対する評価
(3)参加して良かったこと・悪かったこと
(4)参加しなくなった理由
(5)全体的な満足度と必要性

■成果
1.「すずらんの会」への初参加のときの期待(図1)
 「同じような体験をした人の気持ちを聞きたかった」との回答が92%と最も多く、次いで「スタッフに会えると思った」との回答が多かった。「同じような体験をした人の気持ちを聞きたかった」との遺族のニーズに対して、サポートグループは最も有効な遺族ケアプログラムの一つであると考えられることから、この結果はサポートグループの活動意義を示唆するものであると考えられる。



2.「すずらんの会」の内容に対する評価(図2)
 各設問について「適当」との回答が63%から86%見られたことから、会の内容に対する評価は全体的には良好であると考えられる。しかし、「気持ちを分かち合えた」や「話し合いたかった話題だった」に関しては、「不適当」との回答が30%を上回っていた。この結果については、参加人数が少ない日や参加者の体験や関心が大きく異なる日があったことが理由として考えられた。また、各設問で「不適当」との回答が少なからず示されたことは、運営スタッフ、特にファシリテーターのさらなる機能向上を求めるものであると言える。


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