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ホスピス・緩和ケアに関する調査研究報告
2001年度調査研究報告


■ホスピス・緩和ケア病棟の質の評価方法に関する報告<3P>

IV. Yorkshire Hospice Peer Reviewから学ぶこと

 このYorkshire Hospice Peer Review Audit Project のすばらしいところは、次のことである。政府が監査システムを持つようにという指針を出したこともあるだろうが、お互いのホスピスが協力して、質の高いケアができるように、という意識のもとにでき上がったことである。
 Yorkshire Hospice Peer Review の全体を通して学んだことは次のことである。
  1. 監査ツールはホスピスのタンダードに沿ったものであり、評価のためだけのものではない。
  2. 毎日行っている日常の実践が評価されている。
  3. ガイドライン・スタンダード作成に当たって、評価についての研究結果や、政府の指針が示されている文書が基本となっている。
  4. 監査ツールは、各施設にマニュアルがあることだけではなく、関係者が理解していること、マニュアルに沿って実施し、その実施したことが記録に残されていることが監査の視点になっている。
  5. 監査員に求められる資質、必要な能力・技術、監査を行うための手順が、詳細に示してあり、統一した監査を行うためには非常に重要である。
  6. 監査システムの開発に対する多大な意欲 、熱意、努力が感じられる。
V. 日本ホスピス・緩和ケア病棟の現状

 全国ホスピス・緩和ケア病棟連絡協議会A会員施設(承認施設)の婦長会では、施設同士の情報交換を行う目的で、2000年12月にアンケート調査を行った。2000年12月1日現在の承認された81施設中79施設から解答が寄せられた。

 その寄せられた情報からは、婦長達が問題を抱えながら自己努力を重ねている現状が伺え、共通のスタンダードの必要性が感じられる。この看護状況については、A会員施設の婦長の内部資料としてまとめて配布したものであったために、今回、この報告書をまとめるに当たって、この資料を参考にすることの了解を得た。アンケートに書かれたことは、ある1施設の婦長が書いたことではあるが、それぞれの意見や、問題と感じていることは、すべての施設に共通することであると考える。
 その結果を表2,3,4,5、図4に表し、意見をまとめると次のような問題が考えられる。
  1. 施設数が増え、届け出病床数が増加しても、稼働病床数の割合は、ほとんど変化がない。これは、「夜間における複数の看護婦の配置」という施設基準が影響していると考えられる。
     認可を受けた病床数は増えていても、1施設の稼働病床数は、94年以来平均17床である(表1)。私たちが調査した実数も、同様の結果であり、各施設の看護婦数と合わせたものが表2である。

     看護婦数は、平均15.5名で、全施設の実稼働病床数と看護婦数を示したのが図4であり、稼働病床数と看護婦数は比例しているのではなく、全体に平均化していることがわかる。これは、「夜間において看護婦が複数配置されていること」という施設基準を満たそうとしているためと思われる。しかし、15名以下の看護婦数の施設では、一人の夜勤回数を8回/月以下にして、複数夜勤の勤務計画を作成することは困難であると考えられる。複数夜勤という基準があるために、まだ、病床数の少ない施設でも一定の看護婦数が配置されているとも言える、しかし、病床数の多い施設では、複数といっても夜勤者2名という施設が多い。終末期の患者は、全面介助が必要、病状が日々変化している、患者も家族も緊張が高くなっているような状態である。複数配置といえども夜間2名の看護婦で、患者・家族に対して、必要なケアが提供できているかどうかを評価しなければならないと考える。このような現状であるが故に、表3、4に示すような問題点が出てくるのだろう。

    表1 届出病床数と稼動病床数
    全国ホスピス・緩和ケア病棟連絡協議会調べ(2000.3)
    年度 施設数 届出病床数
    (床)
    稼動病床数
    (床)
    稼動病床数
    (床/施設)
    94 18 372 318 17.7
    95 22 428 375 17
    96 31 547 520 16.7
    97 37 654 631 17.1
    98 53 974 953 18
    99 64 1294 1115 17.4

    表2 届出病床数と稼動病床数、看護婦数
    A会員施設婦長会資料(2000.12)
      届出病床数
    (床)
    実稼動病床数
    (床)
    看護婦数
    (人)
    総数 1423 1357 1194
    平均 18.5 17.6 15.5
    最小値 6 6 7
    最大値 36 36 29
    (77施設)

    表3 困っていること・問題点
    (N-273件)
    看護管理に関すること
     教育に関すること
     人員・業務に関すること
     ストレスに関すること
     チームワークに関すること
    156
    77
    51
    9
    19
    運営・システムに関すること 91
    専任医師に関すること 26


    表5 カンファレンスの実施
    (N-79)
    毎日(チームで)
       (看護婦のみ)
    50
    1
    毎日ではないが行っている 26
    行っていない 2
  2. チームケアが重要であるホスピス・緩和ケアにおいて、常勤している専任医師が不在であったり、兼任となっているためにコミュニケーションがとれないなどの問題がある。また、医師、看護婦共に知識、経験ともに不足している現状がありケアの質に問題があると考えられる。
     チームケアを行うための話し合の場であるカンファレンスについては表5のような状況である。このカンファレンスの状況からみても、専任の常勤医師が不在なのではないかと思われる。
  3. 運営上の問題として、利用率が悪いことがあげられている。これらの原因として、病院内での緩和ケア病棟に対する認識の問題、医師の認識、経営者の認識の問題、地域の利用者の認識の問題などが伺える。
昨年の調査からは、以上のような問題が考えられる。
 現在、緩和ケアに携わっている医師、看護婦は、それぞれが個々の考え方で、努力して質の高いケアをしようとして悩んでいる。その施設の施設長、あるいは担当する医師の考え方が、反映したホスピス・緩和ケア病棟となっている。例えば、入院の受け入れ、症状マネジメントの方法などに差がでてきているのではないかと思える。日本の現状で、このような「それぞれの考える緩和ケア」ということが問題ではないかと考える。そのことを解決するために、この Peer Review のような監査が必要であろう。また、ホスピス・緩和ケア病棟の基準があることで、年々新設される施設は、その施設の運営を考えやすくもなる。

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