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事業報告
2015年度 第16期事業報告書     (自:2015年4月1日 至:2016年3月31日)



[概 括]

 2015年度は、質の高い調査研究と人材育成事業を中心に、普及・啓発および国際交流を加えた4つの事業領域で18の事業を行った。
 調査・研究事業では、非がん疾患の終末期に関する調査が2年目に入り、また継続して実施している大規模な調査研究「遺族によるホスピス・緩和ケアの質の評価に関する研究」は第3次調査結果が冊子としてまとめられた。新しく「がん拠点病院の緩和ケアチームの基準2015」がまとめられた。人材育成事業では、引き続き“Whole Person Careワークショップ”を、札幌、大阪の2箇所で開催した。広報・啓発事業では、小冊子「旅立ちのとき」を発行し頒布を行った。国際交流事業では、第2期日本・韓国・台湾共同研究事業が開始された。その他各事業も、計画通りに進められて、ご協力戴いている皆様方に深く感謝する。
以下、個別の事業毎に実施報告の概要を記した。



各事業の活動内容について下記の通りご報告申し上げます。

   
1.  ホスピス・緩和ケアに関する調査研究事業(公募)
2.  遺族によるホスピス・緩和ケアの質の評価に関する調査研究事業「J-HOPE3」
(第3次調査・4年目)
3.  「ホスピス・緩和ケア白書 2016」(研究論文集+データブック)作成・刊行事業
4.  非がん疾患の終末期医療の実態に関する調査(2年目)
5.  がん診療拠点病院の緩和ケアチームの基準2015年度版の作成
6.  意思決定支援をめぐる患者・家族のニーズならびに課題の把握と、
効果的な支援方法の検討
7.  ソーシャルワーカーのための緩和ケアスキルアップセミナー開催事業
8.  ホスピス・緩和ケアボランティア研修セミナー開催事業
9.  Whole Person Careワークショップ開催事業
10.  グリーフケア研修セミナー開催事業
11.  高齢者介護施設等の看取り教育研修
12.  ホスピス・緩和ケアフォーラム開催事業
13.  「これからのとき」の冊子増刷
14.  「旅立ちのとき」出版事業
15.  Whole Person Care 日本語版発行事業
16.  一般広報活動事業
17.  APHN関連事業費
18.  日本・韓国・台湾 第2期共同研究事業(1年目)
19.  おわりに
             



[事業活動]

1.ホスピス・緩和ケアに関する調査研究事業(公募)

2015年度の多施設共同研究として公募申請された9件について、事業委員会において審査した結果、次の3件が採択された。(公募制度10年目)
(1) ELNEC-Jコアカリキュラム看護師教育プログラム受講によるエンド・オブ・ライフ・ケアに関する看護実践の変化
(2) がん患者に対するインターネットを用いたマインドフルネス認知療法の実施可能性研究
(3) 終末期がん患者の感染症診療に関する医療者の意向と、意向の差異に繋がる要因を同定する研究

備考:(3)は一部、研究計画が変更された




2.遺族によるホスピス・緩和ケアの質の評価に関する調査研究事業「J-HOPE3」 (第3次調査・4年目)

同名の調査研究事業の第1回目(J-HOPE1)は2006年度~2008年度の3ヵ年に亘って実施され、引き続き、2009年度~2011年度に第2回目(J-HOPE2)が実施された。これらは世界的に最大規模かつ質の高い研究として国際的にも評価されている。本研究は定期的に緩和ケア病棟の質の評価を行い、それを各施設にフィードバックすることにより質の改善を促すというものである。今回、在宅ホスピス・緩和ケア施設を含め第3次調査研究が企画された。2012年度(初年度)に研究プロトコルが策定され、2013年度は本研究と付帯研究(27件)の研究計画書、調査票の作成が行われた。2014年度は、本研究では185施設、約15,000名を対象に調査票による実調査が行われた。2015年度は、この調査結果の解析と報告書J-HOPE3を作成し、刊行した。  




3.『ホスピス・緩和ケア白書 2016』(研究論文集+データブック)作成・刊行事業

『ホスピス緩和ケア白書』として、2015年度版まで下記の12冊を刊行・配布している。本年度は、引き続き、2016年度版を刊行した。

2004年 ホスピス緩和ケアの取り組みの概況
2005年 ホスピス緩和ケアの質の評価と関連学会研究会の紹介
2006年 緩和ケアにおける教育と人材の育成
2007年 緩和ケアにおける専門性~緩和ケアチームと緩和ケア病棟~
2008年 緩和ケアにおける医療提供体制と地域ネットワークの状況
2009年 緩和ケアの普及啓発・境域研修、臨床研究
2010年 緩和ケアにおけるボランティア活動とサポートグループの現状
2011年 がん対策基本法とホスピス緩和ケア
2012年 ホスピス・緩和ケアに関する統計とその解説
2013年 在宅ホスピス・緩和ケアの現状と展望
2014年 緩和ケアにおける専門医教育の現状と課題&
       学会・学術団体の緩和ケアへの取り組み
2015年 ホスピス・緩和ケアを支える専門家・サポーター
2016年 緩和デイケア・がん患者サロン・デイホスピス

 




4.非がん疾患の終末期医療の実態に関する調査(2年目)

日本では非がん疾患の終末期での緩和ケアに関する調査が少ない。本研究では、非がん疾患への緩和ケア、専門的緩和ケアの提供などに関する調査を行い、日本における今後の非がん疾患の終末期医療の方向性を考える上での有用なデータを集積する。初年度は、非がん疾患の絞込みなどの研究プロトコルを検討する会議を開催し、対象疾患を限定する調査と、疾患を限定せず医師の専門性などを限定した調査が検討された。2015年度は、緩和ケアアプローチの必要な非がん患者を同定するツールとして、諸外国で開発されたツールの日本語訳及び日本語版を作成し、そのツールを臨床現場で活用した場合のメリット、デメリットを探索し、日本の臨床現場において緩和ケアアプローチが必要な患者を同定することの意義を検討した。本研究は3~4年間の継続研究を計画している。




5.がん診療拠点病院の緩和ケアチームの基準2015年度版の作成

2007年に施行されたがん対策基本法ならびにがん対策推進基本計画により、全国すべてのがん診療拠点病院に緩和ケアチームの設置が義務付けられ、緩和ケアチームの基準が作成された。同基準は日本緩和医療学会の緩和ケアチームの基準としても利用されている。しかしながら、2012年に改定された第2期がん対策推進基本計画と、それに基づいて見直された拠点病院の認可基準において、緩和ケアチームの役割が大きく改訂されている。また、緩和ケアチームの新規コンサルテーションの数は年間5万人を超え、がん死亡者数の15%を占めるに至り、その活動の形態や役割も大きく変化してきている。
そこで、本研究では、関係する専門家の意見を集約し、医学領域で広く使用されているデルファイ変法を用いて、がん対策推進基本計画や拠点病院の認定基準の変化、緩和ケアチームの役割の変化に対応できる、がん診療拠点病院の緩和ケアチームの基準の作成を行うことを目的として、データ収集、外部レビュウー、およびパネルミーティングを行い、108項目からなる2015年度版緩和ケアチームの基準が作成された。今後は、この基準を各施設で利用して緩和ケアチームの質の改善活動が行われ打ことが期待される。
 




6.意思決定支援をめぐる患者・家族のニーズならびに課題の把握と、効果的な支援方法の検討

 がん治療・緩和ケアにおいて、患者・家族の意向に沿った療養生活・ケアを実現する上で、意思決定支援の重要性が様々な観点から指摘されている。しかし、患者・家族が療養を決めるに際して実際はどのように判断をしているのか、どのような点に不満を感じ改善を望んでいるのか等に関する情報が明らかになっていない。  今後、多職種が患者・家族の支援を検討していく上で、その現状を明らかにし、支援を具体化する方向性を共有する必要がある。そこで、相談支援センターの役割や機能を整理し、その中の意思決定支援に関して、プログラム評価法に沿って調査を行い、現状を明らかにすることを計画し、がん診療連携拠点病院(403 カ所) の相談支援センターを対象に調査を行った。調査内容は、がん治療に関連する意思決定支援を行う際に必要なスキルと、相談支援センターで対応される相談支援内容における困難感から構成した。調査は、平成27年12月に実施し、403 施設に送付し260 施設より回収し、解析を行った(回収率64.5%)




7.ソーシャルワーカーのための緩和ケアスキルアップセミナー開催事業

 ホスピス・緩和ケアにおけるソーシャルワーカーの使命である“ホスピス・緩和ケアの患者、家族に貢献できる人材育成”を目的としたセミナーは、財団事業として2006 年から継続して実施されている。2015 年度は、以下の通り実施された。

・テーマ 「地域包括的ケア時代の緩和ケアネットワーク」
・実施日:2015 年10 月25 日(日)
・場 所:松本商工会議所(長野県松本市)
・基調講演:「がん対策においてソーシャルワーカーに期待されること」
      秋月玲子氏(厚生労働省がん対策・健康増進課)
・シンポジウム: 「地域における地域包括的ケアの現状と課題
・演 習:福地智巴氏 田村里子氏
・参加者:14 名

ソーシャルワーカーのための緩和ケアスキルアップセミナーの様子その1   ソーシャルワーカーのための緩和ケアスキルアップセミナーの様子その2



8.ホスピス・緩和ケアボランティア研修セミナー開催事業

 ホスピス・緩和ケアにおけるボランティアの役割を確認し、そのケアの向上をめざす研修セミナーは2002年以来継続して日本病院ボランティア協会との共催で実施されている。2015年度は、以下の通り実施された。
 テーマ「今あらためて知りたいこと、感じること ホスピスボランティアの想い」

【奈良開催】
・実施日:2015 年6 月12 日(金)
・場 所:奈良県文化会館(奈良市)
・講 演 :「寄り添うって? 聴くこと 語ることの本当の意味」
     佐藤 泰子氏(京都大学講師)
・活動発表:「グループふれ愛」の活動報告
      塚野 加代氏 (四国がんセンター「グループふれ愛」代表
・参加者: 105 名
奈良ヴォランティア研修セミナーの様子その1   奈良ヴォランティア研修セミナーの様子その2
【熊本開催】
・実施日:2015 年7 月23 日(木)
・場 所:熊本市国際交流会館(熊本市)
・講 演:「輝いて今を生きる -幸せな最後を迎えさせるために-」
     山岡 憲夫氏山岡在宅クリニック院長)
・活動報告 淀川キリスト教病院 ボランティア 宇野 喜代子氏
      イエズスの聖心ボランティア    永田 貴子氏
・参加者:66 名
熊本ヴォランティア研修セミナーの様子その1   熊本ヴォランティア研修セミナーの様子その2



9.Whole Person Care ワークショップ開催事業

本ワークショップは2012 年より開催され、ホスピス・緩和ケアに従事する医師、看護師、薬剤師、ソーシャルワーカーなどのメディカルスタッフの育成を目的としたもので、従来の知識提供型ではなくグループワークショップを通じてWhole Person Care の学びを深めるものである。
 2015 年度も引き続き、本ワークショップを札幌、大阪の2 会場で開催された。

・実施日:第7 回 2015 年8 月8 日(土)場所:千里ライフサイエンスセンター(豊中市)
      第8 回 2015 年8 月22 日(土)場所:TPK 札幌ビジネスセンター(札幌市)
・講 師:恒藤 暁氏(京都大学大学院医学研究科)
      安田裕子氏(一般社団法人スピリチュアル研究所)
・参加費:賛助会員10,000 円 非会員15,000 円
・参加者:第8 回大阪会場 13 名、第9 回札幌会場 9 名




10.グリーフケア研修セミナー開催事業

 ビリーブメント(死別)とそれに伴うグリーフ(悲嘆)に対する援助は、ホスピス・緩和ケアの領域のみならず、東北大震災という未曽有の災害により大きな社会的関心事となりつつある。しかしながら、ビリーブメント体験についての理解や、死別者への援助手法に関して、我が国での学術的な貢献はまだまだ十分とはいえないのが現状である。財団はスピリチュアルケアへの貢献の一環として、此の分野での基礎研究から臨床実践までを含めた学術的交流として「グリーフ&ビリーブメント カンファレンスの開催を定期的に実施している。
 2015年度は、以下の通り実施された。

・実施日:2016 年1 月31 日(日)
・場 所:関西学院大学梅田キャンパス
・講 演:「宗教者の立場からのグリーフケア」 西岡秀爾氏(崇禅寺副住職 花園大学講師)
・実践報告、研究報告、事例検討
・参加者:76 名
 
グリーフケア研修セミナー様子-1   グリーフケア研修セミナーの様子-2




11.高齢者介護施設等の看取り教育研修

 2025 年問題、すなわち団塊の世代が大量に死を迎える問題により、病院で看取りを行うのは設備的にも財政的も困難で、今後は在宅や老人介護施設での看取りが必要となる。従来、老人介護施設や特養での看取りは避けられることが多く、亡くなる前に病院へ運ばれ、不幸な最期を迎えるということが多いのが現状であるこれは介護施設の従事者が、死に遭遇した経験が無い為、病院へ送らざるを得ないことに依っている。今後、看取り教育(Death Education)はホスピス財団が担うべきで事業あると考えられる。
 上記の理由から、高齢者介護施設を対象にした看取り教育の実施は大切な課題であり、2015 年度は、その第一歩として、具体的な研修システムを検討するワーキンググループ結成の準備を行った。




12.ホスピス・緩和ケアフォーラム開催事業

 ホスピス・緩和ケアについての正しい理解を一般の方々へ広く啓発する目的で、財団設立以来継続して進めている講演とシンポジウムを軸としたプログラムである。2014 年度までに27 都市で開催している。
 2015 年度は6 月につくば市で、日本死の臨床研究会関東支部大会と連動して開催された。

・テーマ:「死ぬのはこわい!?」
・実施日:2015 年6 月7 日(日)
・場 所:つくば国際会議場
・講 演:「野の花診療所のわたし」
      徳永 進氏(野の花診療所所長)
・トークショー:「死ぬのはこわい!?」
      徳永 進氏、志真泰夫氏、木澤義之氏
・参加者:356 名
 




13.これからのときの冊子増刷

 これからのとき(大切な方を亡くしたあなたへ)は2006年の出版以来、遺族ケアの働きに用いられている。本冊子は継続的に追加配布の要望が寄せられており、当財団の使命に沿うもの として必要に応じ増刷を行っている。  




14.「旅立ちのとき」出版事業

 2002 年度に財団が「旅立ち(死を看取る)」(Barbara Karnes著 服部洋一訳)を発行し広く配布されたが、諸事情により絶版となった。
しかしながら、その後も配布の希望が多く寄せられている。
 今般、それらの要望に応えるべく、類似の冊子を探した結果、カナダで発行されている「人生の最後のときに・・・寄り添うあなたへのガイドブック✽ 1」が適当と判断され、翻訳、出版を企画し、8 月に「旅立ちのとき」として刊行した。(10000 部)

✽ 1 ・原著 「Ces derniers moments de vie
             ・・・Pour mieux vous guider」
       ・ 発行 Suroit 健康・社会支援センター
         (カナダ モントリオール)
     ・構成 22p の冊子 本文、よくある質問、参考文献、
          インターネット情報源

また、出版を記念して「旅立ちのとき 出版記念講演会」を開催した。
・実施日:2015 年11 月16 日(月)19 時~ 21 時
・場 所:サクラファミリア(大阪梅田教会)聖堂
・講 演:「“旅立ちのとき”を支えるケア」
      田村恵子氏(京都大学大学院医学研究科教授)
・参加者:135 名 (参加費:無料)
 




15.Whole Person Care 日本語版発行事業

 Springer 社(独)発行の「Whole Person Care」は、今後のホスピス・緩和ケアを目指す医療従事者に有益なものである事より、その日本語版を財団が発行する。財団が進めるWPC ワークショップのテキストとしても活用する予定である。2012 年度より翻訳作業を行い、本年度に翻訳作業が完了し2016 年5月に出版予定である。

・書名「新たな全人的ケア ・・・・医療と教育のパラダイムシフト」
・編  トム・A・ハッチンソン / 訳 恒藤 暁
・発行 (公財)日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団
・発売 (株)青海社
・価格 2000 円(税別)
・初回印刷部数 2000 部
 




16.一般広報活動事業

 年2 回の『ホスピス財団ニュース』の発行を主として、ホームページの充実、更新その他必要に応じて財団のパンフレット改定・刊行などを行う。  




17.APHN 関連事業費

 当財団はシンガポールに事務所を設置するAPHN(Asia Pacific Hospice Network)の会員として、当財団設立以来その活動を支援してきている。2015 年は4 月30 日~ 5 月3 日に台北にて学術会議が開催され当財団として2 名が出席した。
 




18.日本・韓国・台湾 第2 期共同研究事業(1 年目)

 2014 年度に日本・韓国・台湾での共同研究の成果をうけて、さらに発展的な研究テーマに取り組む。前回行ったものは、医師対象の質問紙調査であったが、今回は緩和ケア病棟に入院している患者を対象としたコホート研究(観察研究)として、終末期がん患者のDying process の諸症状の変化や治療の効果を明らかにすることを目的として、4 月に第1 回目の会議を行い研究について検討するとともに、日本国内では全体メーリングリストを開設し、研究について検討を行った。さらに、実際の会議やスカイプ、メーリングリストでのやり取りを通じて、国内外での研究組織を強化すると共に、内容面の検討を進めてきた。その後、第2 回、第3回の会議やメーリングリスト、スカイプでの議論を通じて共有したことをもとに、各分担研究者から必須の調査項目の抽出を依頼した。現在それらをもとに、調査票案を作成中である。
 本研究は3 年間の継続研究を計画している。




19.おわりに

 2015 年度は前述の18 の事業を立案、実行した。 特にホスピス・緩和ケア従事者を対象にした「Whole Person Care ワークショップ」は、今後も財団のオリジナリティが発揮される教育事業として継続していく考えである。また、世界的にも高く評価されている「遺族によるホスピス・緩和ケアの質の評価に関する研究」では在宅ホスピス・緩和ケアも調査対象として加えられ、調査結果が冊子にまとめられたことは大変意義深いことである。来る2016 年度も、本年度の路線を継承しつつ、独自性のある調査・研究の充実に力を注ぐとともに、高齢者介護施設での看取り教育にも取り組む考えである。これらの事業を通してホスピス・緩和ケアの質の向上のために貢献したく願っている。