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(2011年7月1日~)
ホスピス・緩和ケア専従医のための自己学習プログラム
■Module4■ 呼吸困難

〔一般問題〕

問題1 がん患者の呼吸困難を評価する時に適切な指標として正しいものはどれか
(1) SpO2
(2) HughJohns(Fletcher)Scale
(3) 問診
(4) ニューメリック・レイティング・スケール(numericratingscale;NRS)
(5) ビジュアル・アナログ・スケール(visualanaloguescale;VAS)
 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5)
 d(2),(3),(4) e(3),(4),(5)
 
問題2 がん患者の呼吸困難の原因に対する治療について正しいものはどれか
(1) 肺炎の診断・治療効果の判定の指標として適切なのは,体温・白血球数・CRPである
(2) SVC(上大静脈症候群)の治療の第一選択は,少量ステロイドの長期投与である
(3) がん性リンパ管症の治療の第一選択は,放射線療法と大量ステロイド投与である
(4) 重度の貧血が呼吸困難の原因と考えられる場合は,全身状態と予後の見通しを評価し,濃厚赤血球輸血を検討する
(5) 胸水ドレナージをする時は,胸腔穿刺の回数をなるべく減らして患者の負担を軽くするために,1回にできるだけ大量に排液した方がよい
 
問題3 がん患者の呼吸困難の対症的薬物療法について正しいものはどれか
(1) 呼吸困難に対してモルヒネを開始しても,PCO2,PO2はほとんど変化しない
(2) 呼吸困難に対する効果は,モルヒネよりオキシコドンの方が強いとされる
(3) 呼吸困難に対するオピオイドの使用量は少ないので,オピオイドの副作用対策は不要である
(4) 呼吸困難は不安や抑うつと関連するため,抗うつ薬を早期から併用した方がよい
(5) 最期の数時間の看取りの段階では,意識がなく呼吸困難は感じていないため,また副作用が強く出現してくるため,オピオイドは中止した方がよい
 
問題4 がん患者の呼吸困難の対症的非薬物療法について正しいものはどれか
(1) 呼吸困難がある時は体力の消耗が激しいので,できるかぎりゆっくり休めるように仰臥位を促すとよい
(2) 呼吸困難がある時は,できるかぎり勁部や肩などの補助呼吸筋を収縮させて上部胸郭の運動による吸気運動を促すとよい
(3) 呼吸困難が軽症の早期の段階で,リラックスする方法や呼吸法を指導しておくとよい
(4) 気道の刺激を極力避けるため,部屋は締め切りにし,できるだけ加湿加温するとよい
(5) 最期の数時間の看取りの段階で,無呼吸時間の延長がみられた場合は,スクイージングで呼吸を補助するとよい
 
問題5 がん患者の乾性咳嗽の原因として頻度の高い疾患の組み合わせは次のうちどれか
(1) 放射線性肺臓炎
(2) 細菌性肺炎
(3) うっ血性心不全
(4) 貧血
(5) がん性リンパ管症
 a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5)
 
問題6 がん患者の咳に対する治療について,正しいものはどれか
(1) 肺理学療法として,バイブレーターの使用やタッピングが推奨される
(2) 湿性咳に対する薬剤治療の第一選択はコデインである
(3) 湿性咳嗽に対しては,分泌促進薬と喀痰溶解剤を併用するとよい
(4) 疼痛に対してモルヒネを使用している患者でも,咳が強い場合はコデインを併用するとよい
(5) デキストロメトルファンを使用している患者でも,咳が強い場合はコデインを併用するとよい
 
問題7 死前喘鳴発症の関連因子とされるものの組み合わせは次のうちどれか
(1) 脳転移
(2) 肺がん
(3) 胃がん
(4) 高齢
(5) 心不全
 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5)
 d(2),(3),(4) e(3),(4),(5)
 
問題8 予後が日から時間単位と考えられる患者の死前喘鳴の治療とケアについて,適切な組み合わせはどれか
(1) 原因に対する治療
(2) 体位交換
(3) 抗コリン薬
(4) 補液
(5) 吸引
 a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5)

〔症例問題〕

〔症例〕
A氏,58歳,男性.6ヵ月前,肺腺がん(T4N3M0)と診断され,胸水ドレナージと癒着術後,化学療法を受けたがPD(progressivedisease)となり,本人家族の希望で2ヵ月前から緩和医療科外来で経過観察されていた.本日,呼吸困難を主訴に来院した.
20歳から30年間のヘビースモーカーで,5年前に慢性閉塞性肺疾患(COPD)を指摘されている.診察時,意識クリア,血圧110/60,心拍数90正,呼吸数24,体温36.5℃,酸素飽和度SpO2 95%.1週間ほど前から部屋内の歩行程度で呼吸困難が増悪し,この数日は夜横になると苦しくなり,ほとんど眠れていないという.痰・咳はなし,痛みの訴えはなし.「苦しい抗がん剤の治療も耐えたのに,なぜ自分だけがこんなに苦しい目に合わなければならないのか外会社も辞めたし,これからどうやって食べて行ったらいいのか外」と声を荒げて訴え,妻は目をはらし,何も言わず不安そうに涙ぐんでいる.
 
問題1 この時点で,適切でない対応の組み合わせは次のうちどれか
(1) 呼吸困難の訴えがあるので,とりあえず経鼻酸素4lを開始する
(2) 呼吸困難の訴えがあるがSpO2は問題ないので,心配ないことを本人・家族に十分説明して,経過観察とする
(3) 呼吸困難の原因を検索するために,さらに詳しい身体所見をとる
(4) 呼吸困難の原因を検索するために,血算生化学・胸部レントゲンをオーダーする
(5) 呼吸困難を増悪させる要因が複雑にありそうなので,カウンセラーとソーシャルワーカーに連絡し,評価してもらう
 a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5)
 
〔症例〕(つづき)
引き続きA氏の診察と検査の結果,以下の所見を得た.
身体所見:るいそう著明,眼球結膜に貧血を認めず.心音正.呼吸音は両側でやや減弱し,軽い低調性連続雑音(rhonchi)を聴取,喘鳴はなし,呼気延長なし.打診にて右下肺野に濁音あり.腹部は軟.ばち状指著明,上下肢に浮腫・チアノーゼなし.血液生化学:アルブミン2.2,CRP1.8,白血球8,500(好中球80%),ヘモグロビン9.1,血小板3.2万.胸部レントゲン:右側に少量の胸水貯留,縦隔影の拡大,カーリーB lineを伴う全肺野におよぶ小結節影を多数認めた.
 
問題2 この時点で,適切な処置はどれか
(1) 肺炎を疑い,抗生剤を処方し,自宅安静を指示する
(2) COPDの増悪を疑い,気管支拡張剤を処方し,自宅安静を指示する
(3) 胸水再貯留による呼吸困難増悪を疑い,胸腔穿刺と再癒着術を計画する
(4) がん性リンパ管症を疑い,モルヒネ水を少量から開始する
(5) 診察所見と検査結果で重篤な問題はないので,心配ないことを本人・家族に十分説明して,経過観察とする
解答・解説解答・解説ダウンロード(PDF)