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(2011年7月1日~)


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ホスピス・緩和ケア専従医のための自己学習プログラム
■Module2■ がん性疼痛

〔一般問題〕

問題1 痛みの定義と神経線維について正しい組み合わせは次のうちどれか
(1) 損傷された神経の支配領域を越えて痛みが発生することはない
(2) 神経線維のうちAδ線維はC線維よりも太い無髄線維である
(3) C線維はAδ線維よりも伝導速度が速い
(4) 機械刺激に反応しない神経線維が存在する
(5) 痛みは組織障害がなくても起こりうる不快な感覚である
 a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5)
 
問題2 痛みの評価について正しいものはどれか,2つ選べ
(1) 臍直下の高さに発生した帯状疱疹は胸神経に感染が発生したと考えられる
(2) 痛みを起こすはずのない弱い刺激で痛みが起こるのは心因性疼痛の特徴である
(3) VAS(visualanaloguescale)とVRS(verbalratingscore)は,評価が必ずしも相関しない
(4) 入浴によって改善する痛みは神経ブロックの適応とはならない
(5) プラセボを投与して効果があれば,精神的要素が大きな痛みと考えられる
 
問題3 がんの痛みの発生原因について正しい組み合わせは次のうちどれか
(1) 膵臓がんの痛みは侵害受容性疼痛である
(2) 神経障害性疼痛は神経の損傷や異常に付随して発生する
(3) 壁側腹膜病変の痛みは内臓痛である
(4) 手術後の創部痛はがんの痛みには含めない
(5) 精神的痛み,社会的痛み,霊的痛みの存在は,身体的痛みを増強する
 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5)
 d(2),(3),(4) e(3),(4),(5)
 
問題4 痛みの発生機序について正しい組み合わせは次のうちどれか
(1) 先天性無痛症では皮膚侵害受容線維の発達が良くないため,感染を起こしやすい
(2) 皮膚などの末梢からきた侵害受容線維は,後根を通って脊髄に入る
(3) 脊髄に入った第2次ニューロンは交叉せずに上行し,第3次ニューロンに入る
(4) プロスタグランジンは発痛物質の1つである
(5) サブスタンスPには強い血管収縮作用がある
 a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5)
 
問題5 痛みの種類について正しいものはどれか
(1) 表在痛と深部痛を合わせて体性痛とよぶ
(2) 深部痛には,しばしば関連痛が伴う
(3) 内臓痛と体性痛は侵害受容性疼痛に含まれる
(4) 神経因性疼痛(neurogenicpain)は神経障害性疼痛(neuropathicpain)と同義である
(5) 神経障害性疼痛の原因は中枢神経系由来のものに限られる
 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5)
 d(2),(3),(4) e(3),(4),(5)
 
問題6 痛みに関する下記の記述について正しいものはどれか,2つ選べ
(1) 神経由来の痛みは,「電気が走るような」「刺し込むような」と表現される
(2) 骨由来の痛みを患者は,「鋭い痛み」と表現することが多い
(3) 内臓痛に特徴的なのがアロディニアの存在である
(4) 視床出血など脳卒中後に起こる痛みは損傷部と反対側に発生する
(5) 幻肢痛は6歳以下の小児に好発する
 
問題7 非オピオイド鎮痛薬について正しいものはどれか
(1) NSAIDsではプロスタグランジン合成を阻害することにより鎮痛が得られる
(2) 塩基性のNSAIDsは酸性のものより副作用が強いため,あまり用いられない
(3) アスピリンは吸収されるとプロピオン酸になり,作用を発揮する
(4) COX-2を阻害する割合の高いNSAIDsでは,胃腸障害や腎障害が比較的多い
(5) アセトアミノフェンは血液凝固能に対する影響が少ない薬剤である
 a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5)
 
問題8 オピオイドの作用機序について誤っているものはどれか
(1) オピオイド受容体にはα,β,μ,δの4つが知られている
(2) μ受容体は大脳皮質と脊髄後角のみに分布している
(3) δ受容体のもつ生理作用として最も知られているのは鎮咳作用である
(4) オピオイドの催吐作用は化学受容器トリガーゾーンへの直接刺激で生ずる
(5) 定期的にスタッフをサポートするミーティングは,個人の成長につながる
 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5)
 d(2),(3),(4) e(3),(4),(5)
 
問題9 WHOがん性疼痛治療法について正しいものはどれか
(1) 痛みの強さにかかわらず,第1段階のアスピリンかアセトアミノフェンを用いる
(2) 第2段階のコデインを用いる際には,第1段階の薬剤は中止する
(3) 第3段階の薬剤では,服薬コンプライアンスを考慮し,極力,食後に内服する
(4) 各段階の薬剤はいずれも効果が現れるまで,少なくとも3日間は使い続ける
(5) 長時間作用性の強オピオイドはレスキューとして使用しない
 
問題10 鎮痛補助薬について誤っているものはどれか
(1) 第2種鎮痛補助薬とは緩下剤や制吐剤など副作用を抑える薬剤を指す
(2) 三環系抗うつ薬は神経障害性疼痛に効果が認められている
(3) アセトアミノフェンの副作用が少ないのはCOX-2阻害の選択性が高いためである
(4) 高カルシウム血症がない場合,ビスフォスフォネートは骨転移痛に無効である
(5) NMDA受容体拮抗薬のケタミンはグルタミン酸の活性化・過敏化を抑制する
 a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5)
 
問題11 侵害受容性疼痛について誤っているものはどれか
(1) 内臓痛は自律神経を介して感じられる疼痛であり,オピオイドが有効である
(2) 骨転移痛は体性痛に分類され,NSAIDsが有効である
(3) 腹腔神経叢ブロックは体性痛に有効である
(4) 抗コリン薬は腸管蠕動亢進に由来する内臓痛に有用である
(5) 関連痛とは,内臓神経と脊髄神経の両者が関与するものである
 
問題12 非オピオイド鎮痛剤の使用法について正しいものはどれか
(1) エトドラク,メロキシカム,ナブメトンはいずれも1日2回の投与が必要である
(2) ロキソプロフェン,メフェナム酸は解熱作用も強い
(3) アセトアミノフェンは肝毒性に注意が必要である
(4) 注射剤として利用できる薬剤にはフルルビプロフェンアキセチルとナプロキセンがある.
(5) プロトンポンプ阻害薬はNSAIDsによる胃腸障害を改善・予防しない
 
問題13 オピオイドの適応となりにくいものはどれか
(1) 頭蓋内圧亢進による頭痛
(2) 帯状疱疹後神経痛
(3) 視床痛
(4) 呼吸困難感
(5) 手術後疼痛
 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5)
 d(2),(3),(4) e(3),(4),(5)
 
問題14 オピオイドのさまざまな投与経路に関する記述で誤っているものはどれか
(1) 経皮的貼付剤の利点はその用量調節が容易であることである
(2) モルヒネ経口投与により眠気・傾眠がある場合は,注射剤に変更することを検討する
(3) 皮下注射と静脈注射の使用換算比は1:1とする
(4) 硬膜外へのオピオイド投与量はくも膜下腔に投与する量の約2倍である
(5) ブプレノルフィン坐剤には有効限界量があるので,モルヒネと併用する
 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5)
 d(2),(3),(4) e(3),(4),(5)
 
問題15 オピオイドローテーションについて正しいものはどれか
(1) 同じオピオイドを使い続けると鎮痛効果に耐性が生じやすくなる
(2) モルヒネからペンタゾシンに変更する場合もある
(3) モルヒネからフェンタニルパッチへのローテーションでは,便秘は改善しない
(4) コデイン180mg/日をオキシコドンに変更するには20mg/日とする
(5) モルヒネのかゆみ対策の1つとして,オピオイドローテーションがある
 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5)
 d(2),(3),(4) e(3),(4),(5)
 
問題16 痛みの非薬物的治療法について正しいものはどれか
(1) 腹部内臓癌の上腹部・背部痛には腹腔神経叢ブロックが適応となりうる
(2) 直腸がんの肛門・会陰部痛にはサドルフェノールブロックを検討する
(3) 体動時痛に対して知覚神経ブロックの適応はない
(4) モルヒネ使用量が1,000mgを超えてから非薬物療法を検討する
(5) くも膜下にモルヒネを投与すると総麻薬投与量を減らすことができる
 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5)
 d(2),(3),(4) e(3),(4),(5)

〔症例問題〕

〔症例1〕
64歳,男性.6ヵ月前に発症した胃がん.開腹手術を施行した際にすでにがん性腹膜炎となっており,人工肛門を作成し閉腹した.術後しばらくは苦痛なく過ごせていたが,1ヵ月前から左側腹部痛があり,緩下剤と共にオキシコドン徐放製剤を1日80mg分2で処方されていた.1週間前から排便が途絶え嘔気・嘔吐,腹痛が次第に強くなり,昨日よりすっかり食事を摂取できなくなったため入院となった.
 
問題1 この患者に対する当面の鎮痛薬の指示として不適切なものはどれか
(1) フェンタニルパッチ5mgを貼付し,モルヒネ坐剤10mgをレスキューとして投与する
(2) フェンタニルを400μg/時で持続皮下注する
(3) 胃管を留置し,20mg/10mlのモルヒネ水を1日6回定期注入する
(4) モルヒネは中止し,硬膜外カテーテルを挿入留置の上局所麻酔薬を持続投与する
(5) モルヒネ坐剤20mg/回を1日3~4回定期投与し,レスキューも同量用いる
 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5)
 d(2),(3),(4) e(3),(4),(5)
 
〔症例1〕(つづき)
入院後7日間絶食とし,輸液ラインを確保のうえ,モルヒネを電動PCAポンプで持続静注することにより痛みは落ち着いていた.ずっと排便が途絶えており,下剤が経直腸的に投与されていたが,8日目に軽度の左腹痛が起こり,9日目に急に水様便が出て,何度もあくびをするようになり,しきりに唾液が出てくると訴えた.熱は37.8℃であった.
 
問題2 この時点で行うべきことは何か
(1) 問診・身体所見のとりなおし
(2) モルヒネ増量
(3) 補助薬の追加投与
(4) オピオイドローテーション
(5) 薬剤投与ルート・器具の見直し
 a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5)
 
〔症例2〕
40歳,女性.5年前に乳がんで左乳房切除術施行.最近,胸椎,肋骨への骨転移が判明し,左脇腹に「しめつけられるような」「つっぱるような」「電気が走るような」痛みが断続的に起こるようになってきた.外来でジクロフェナク75mg分3に加え,モルヒネ徐放錠(MSコンチン遺錠)240mg分2が処方されていたが,入院後の血液検査でBUN60,クレアチニン2.0という腎機能障害が判明し,呼吸回数が8回/分になってきたため,他の鎮痛剤への変更を検討することになった.
 
問題3 薬剤変更に関する以下の記述のうち,選択すべきでないものはどれか
(1) ジクロフェナクを中止し,アセトアミノフェン2.8g分4を処方する
(2) ジクロフェナクを中止し,ナプロキセン600mg分2を処方する
(3) モルヒネ徐放錠最終内服と同時に,フェンタニル持続皮下注を2.4mg/日で開始する
(4) モルヒネ徐放錠最終内服と同時に,フェンタニルパッチを15mg貼付する
(5) モルヒネ徐放錠最終内服12時間後に,オキシコドン徐放錠を120mg/日,分2で内服開始する
 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5)
 d(2),(3),(4) e(3),(4),(5)
 
問題4 オピオイドを変更しても鎮痛効果に満足が得られないため,この患者に鎮痛補助薬を処方することになった.適応となりにくい薬剤は以下のうちどれか,2つ選べ
(1) ジアゼパム10mg,分2回
(2) アミトリプチリン10mg,分1回
(3) メキシレチン300mg,分3回
(4) イフェンプロジル120mg,分3回
(5) デキサメタゾン20mg,分2回
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