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(2011年7月1日~)
ホスピス・緩和ケア専従医のための自己学習プログラム
■Module16■ 不安

〔一般問題〕

問題1 不安障害のスクリーニングについて誤っているものはどれか
(1) がん患者での不安の有病率は5%程度と考えられている
(2) 不安障害は病期の進行に伴い有病率が高くなる
(3) 多くのがん患者では不安と抑うつが混在した臨床像を呈するのが普通である
(4) がん患者における不安は,死の恐怖,再発転移に対する不安,疼痛,コントロール感の喪失,身体の統合性の喪失など多方面にわたるのが普通である
(5) 不安障害のスクリーニングにはHospitalAnxietyandDepressionScale(HADS)などが用いられる
 
問題2 不安障害の病態について正しい組み合わせは次のうちどれか
(1) 急性不安は心血管系,呼吸器,自律神経,消化器系などの身体症状として現れることが多く,慢性不安は不適切な心配,落ち着きのなさ,易刺激性,集中力低下,決断力低下などの症状を呈する
(2) 外傷後ストレス障害の原因としてがんの罹患がある
(3) 予期性嘔吐症は抗がん剤の副作用としての嘔吐が誘因となった条件反射と考えられている
(4) コントロールされていない疼痛は不安の原因として最も多いもののひとつである
 a(1),(2) b(2),(3) c(1),(3),(4)
d(4)のみe(1)~(4)のすべて
 
問題3 不安障害の診断について誤っているものはどれか
(1) 不安障害の診断では,症状が遷延し,日常生活に障害が及んでいるかが重要視される
(2) 患者は自己の症状を不安障害の範疇ととらえず,恥ずべきものと考え,医療者に訴えず,医療者も症状を見逃すことが多い
(3) 治療の際に注射針を怖がり,採血ができない患者はうつ病を考慮にいれるべきである
(4) MRI撮影の際に,恐怖のためガントリーに入れない患者も不安障害として治療の対象となる
(5) 疼痛が十分に緩和されていない患者の場合,不安障害の診断は保留し,疼痛緩和を優先すべきである
 
問題4 不安障害の薬物療法について誤っているものはどれか
(1) 不安障害の薬物療法として最も用いられるのはベンゾジアゼピン系の抗不安薬である
(2) ベンゾジアゼピン系抗不安薬は不安の軽減のみならず,不眠,化学療法時の悪心,嘔吐にも有効である
(3) ベンゾジアゼピン系抗不安薬は化学療法を受けた患者にみられる予期性嘔吐症の症状軽減に有効である
(4) ベンゾジアゼピン系抗不安薬はパニック障害,広場恐怖を呈する患者にも有効である
(5) アルプラゾラムの半減期は約30時間である
 
問題5 不安障害の薬物療法について正しい組み合わせはどれか
(1) 不安障害の薬物療法としてベンゾジアゼピン系の抗不安薬のほか,抗うつ薬,神経遮断薬も用いられる
(2) 抗うつ薬は効果の発現までの時間がベンゾジアゼピン系の抗不安薬と同等である
(3) 三環系抗うつ薬は,選択的セロトニン再取り込み阻害薬に比較して抗コリン性の副作用が少なく,安全に使用できる薬剤である
(4) 神経遮断薬は幻覚や妄想を伴うような重症の急性不安に用いられる
(5) 神経遮断薬は循環・呼吸に対する影響が少なく,呼吸抑制のおそれのある患者には安全に使用できる
 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5)
 d(2),(3),(4) e(3),(4),(5)
 
問題6 不安障害の非薬物療法について正しい組み合わせはどれか
(1) 不安障害の非薬物療法として教育的な介入,行動療法,個人精神療法,集団精神療法などがある
(2) 教育的な介入を行うことで患者は自己のコントロール感を失わずにいることができるようになる
(3) 情緒的な支援と適切な情報提供を行うことで不安の軽減は可能である
(4) 個人精神療法は死に対する恐怖を乗り越え,コントロール感を増し,対処能力を強化する点で他の非薬物療法と同様に有用である
(5) 集団精神療法は同じ病気を持った患者同士で支援し合うことが可能になり,孤立感の軽減や,具体的な問題に対しての情報交換に役立つ
 a(1),(2),(3) b(1),(4),(5) c(2),(3),(4)
 d(3),(4),(5) e(1)~(5)のすべて
 
問題7 不安障害の非薬物療法について正しい組み合わせはどれか
(1) 漸進性筋弛緩法は不安・抑うつ症状の軽減についてアルプラゾラムと同様の効果がある
(2) 予期性嘔吐症の症状を軽減するうえで,漸進性筋弛緩法は有効である
(3) 行動療法は血液や針に対する恐怖症に対して有効である
(4) 集団精神療法は患者の緊張,恐怖を軽減することに有用である
 a(1),(2) b(2),(3) c(1),(3),(4)
 d(4)のみe(1)~(4)のすべて

〔症例問題〕

〔症例1〕
66歳,女性,乳がんの診断にて乳房切除術施行.術後化学療法施行中の患者.「がんが転移したらどうしよう」「転移したら死んでしまう」「人と話したくない」「外に出ることも怖い」「電話にでるのも辛い」などの症状が出現.家事も十分にできず,夫が手伝っている.睡眠はゾピクロンの投与で入眠可.食欲はある.元来の性格は温厚,協調的.精神神経疾患の既往はな い.
 
問題1 この患者の精神医学的診断として適当なものはどれか
(1) 身体表現性障害
(2) 強迫性障害
(3) パニック障害
(4) 適応障害
(5) 特定の恐怖症
 
問題2 この患者の薬物療法,非薬物療法のうち適当なものはどれか,すべて選べ
(1) 適切な情報提供
(2) リラクセーション法
(3) アルプラゾラムの投与
(4) 抗うつ薬の投与
(5) 集団精神療法
〔症例2〕
35歳,女性.子宮頸がんにて広汎子宮全摘術,両側附属器摘出術施行.術後に化学療法を施行.1回目の化学療法時に吐き気,嘔吐が激しく,水分も取れない状態が続いた.化学療法終了後,病室で他人の点滴を見ると吐き気がする,昼食のにおいを嗅ぐだけで吐き気がするなどの症状が出現.腹部レントゲン写真では特記すべき所見はない.血液・生化学検査では特記すべき所見はない.ドンペリドンの経口投与を行うも症状は軽減せず.患者本人は2回目の化学療法を敬遠している.
 
問題3 この患者の吐き気の原因として最も考えやすいのはどれか
(1) 身体表現性障害
(2) 心気症
(3) うつ病
(4) 予期性嘔吐症
(5) 適応障害
 
問題4 この患者の治療において正しい組みあわせはどれか
(1) 漸進性筋弛緩法
(2) アルプラゾラムの服用
(3) 支持的精神療法
(4) セロトニン拮抗薬の投与
(5) プロクロルペラジンまたはハロペリドールの投与
 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5)
 d(2),(3),(4) e(3),(4),(5)
解答・解説解答・解説ダウンロード(PDF)