今月のコラム |
ホスピス財団 事務局長
大谷 正身
|
新しい家族
コロナ感染症はまだ完全に終息したとはいえないまでも、第5類へ移行され、ホスピス・緩和ケア病棟でも以前ほどの面会制限はなくなりつつあるようだ。 コロナ感染症が騒がれ始めた2020年春以降、コロナに罹患し亡くなった方に家族は最期の面会も叶わなかったが、そのころイタリアの哲学者ジョルジュ・アガンベンが、“コロナ禍によって教会で死者の葬儀が行えないということは、人間の、そして死者の権利を奪い取ることである”と強く訴えたことが思い起こされた。確かに面会制限は、最愛の家族とも顔を合わせることなく旅立つという、やるせなさ、切なさを強いるものであったと感じるが、ようやく私たちは、その権利を取り戻したといえるのかも知れない。 先月、ラジオ番組で、作家の高橋源一郎氏が、中村智志著『大いなる看取り 山谷のホスピスで生きる人びと』(2008年新潮社刊)を紹介されたのを聴いた。ホームレスや身寄りのない人が、がんを患い、どこへも行き場がなく、最後に辿り着くのが山谷にある「きぼうのいえ」というホスピスだそうだ。著者の中村氏は、その「きぼうのいえ」で最期を迎えた多くの方々の生き様を記録している。そして家族も知人も誰も訪ねることなく旅立つ人々の多くが、最期に口にするのは、医師や看護師などケアをしてもらった方々への感謝だそうだ。その箇所を読んだ高橋が、「これらの方々は家族には看取られなかったが、ケアをされた医師、看護師の方々こそ、その人にとっての“新しい家族”になったのだと思う」と締めくくられ、とても心に残った。 「きぼうのいえ」に限らず、今も家族や知人が訪れることもなく、ホスピス・緩和ケア病棟で最期を迎える方々もおられるのではないだろうか。しかし、その時にこそ、ケアをする医療者が“新しい家族”として寄りそい、旅立ちを見送ることができる、そのようなホスピス・緩和ケアであって欲しいと望むものである。 |
|
頁トップへ |
第6回ホスピス財団国際セミナーが開催されます | |||
|
|||
頁トップへ |
日本死の臨床研究会 年次大会が開催されます | |||
|
|||
頁トップへ |
ホスピス緩和ケアボランティア研修会が開催されました | ||||||
|
||||||
頁トップへ |
第8回 Whole Person Care 研究会が開催されました | ||||||||
|
||||||||
頁トップへ |
新 Whole Person Care ワークショップが開催されました | ||||||
|
||||||
頁トップへ |
「ホスピス緩和ケア白書2023」が完成いたしました | |||||
|
|||||
頁トップへ |
「ホスピス・緩和ケアに関する意識調査2023年」が発行されました | |||||
|
|||||
頁トップへ |
ホスピス財団ニュース44号が発行されました | |||||
|
|||||
頁トップへ |
映画『明日香に生きる』のご案内 | |||
|
|||
頁トップへ |
『Whole Person Care 教育編』が好評発売中です | |||
|
|||
頁トップへ |
ホスピス・緩和ケアに関する新聞記事の紹介 |
(記事のコピー等をご希望の方はホスピス財団事務局へご連絡ください。) |
・地方から変えていく・・・滝野隆治の掃苔記 身寄りのない高齢者の最期、看取り、お墓の問題はこれからの大きな課題であるが、それを解決する国の対応はまだである。しかし横須賀市はこの課題に対して「先進自治体」として注目されている。地方から変えていくことの必要性が語られている。。 (毎日新聞 2023/08/27 掲載) |
・「死」を意識、今を大事に生きる ・・・池上彰のこれ聞いていいですか? がん患者との交流や在宅医療の現場など「死」をテーマに取材、執筆してきたノンフィクション作家の佐々涼子さんは、今、自らが悪性脳腫瘍での闘病生活を送っている。しかし、絶望の後にも必ず希望があることを語っている。人生は長さではなく質であるという言葉は重い。 (毎日新聞 2023/08/27 掲載) |
・臨床宗教師 静かな広がり 東日本大震災で始まった宗教者による心のケアは、その後、東北大学が臨床宗教師養成講座を開設し、資格認定制度もできた。また、2016年には「日本臨床宗教師会」が設立され広がりつつあるが、受け入れる施設は未だ少ないという課題もある。 (読売新聞 2023/08/22 掲載) |
・遺族ケア 死別の悲嘆 対処に課題 家族や大切な人を亡くした人に対して、接し方によっては、遺族を傷つけてしまうこともあるが、どのように接せるべきかを、グリーフケアの専門家、団体から情報収集した記事。関西学院大学の坂口幸弘教授は「悲嘆の表われ方や必要なケアの方法は人によって違う。そのことを知った上で、知識を持つことは、自身が死別などで悲しみを抱えたときの向き合い方に選択肢が増えるメリットもある」と話す。 (読売新聞 2023/08/09 掲載) |
・介護保険の危機・・・シリーズ 地球を読む 垣添忠生(日本対がん協会会長) 2000年に始まった介護保険制度が、高齢者の増加や介護職員の不足などで、危機的状況になっているが、これを解消するために、垣添氏は、 1.健康寿命を延ばす努力、 2.人材不足を補うために外国人労働者の活用、 3.介護現場でのAIの活用 を提言されている。 (読売新聞 2023/08/06 掲載) |
・無縁社会に処方箋 「没一」著者 小谷みどりさんに聞く 単身世帯が急増し、今や日本では3分の1が単身世帯である。夫婦でもやがてパートナーに先立たれると、一人になる。自分の遺骨やお墓はどうなるかも分からないという、無縁社会にどうような準備、心構え必要かをインタビューした記事。友人や地域「共助」の絆が大切と小谷さんは説いている。 (毎日新聞 2023/08/01 掲載) |
頁トップへ |
2023年6月末でCANPAN決済サービスが終了し、 新しくSyncable(シンカブル)決済サービスに移行いたしました。 CANPAN決済サービス(6月末終了) ⇒ Syncable決済サービス(7月1日~) |
|
■このメールマガジンは、ホスピス財団の賛助会員をはじめ、ホスピス・緩和ケア医療従事者の皆様にお送りしております。また、お知り合いの方々にも転送していただけると幸いです ■個人情報の取り扱いについて ■メールマガジンの受信の停止は、こちら からお願いします。 |
発行:ホスピス財団(公益財団法人 日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団) 〒530-0013 大阪市北区茶屋町2-30 TEL:06-6375-7255 FAX:06-6375-7245 mail:hospat@gol.com URL:https://www.hospat.org/ |
Copyright(c)2014 Japan Hospice Palliative Care Foundation All Rights Reserved. |