(公財)ホスピス財団 メールマガジン「今月のお便り」 vol.82
 
 新型コロナウイルスに罹患された方々、またコロナ禍により生活面等で困難な中におられる方々へ、 心よりお見舞い申し上げます。
 また感染症対策に尽力いただいている保健、医療従事者の方々へ心より感謝申し上げます。
ホスピス財団 理事長 柏木 哲夫
 
新型コロナウィルスへの対応について
 
今月のコラム

大谷 正身 氏
ホスピス財団事務局長
大谷 正身
  今年を振り返って  ・・・コロナ時代の雑感

 ある新聞に映画監督の河瀬直美氏が、「ヒトは三つの自由を手に入れた。『動く』『集まる』『語る』自由だ。けれど、コロナによって二つは制限され、言葉だけが先行するようになった。(中略) 行動し集まる行為をなくしては、命を捨てはじめていることになるのではないか」と書かれていたのが目に留まった。さらに三密が今や常識化され、マスク越しでしか語れないことは、『語る』自由さえも脅かされていると思うとき、河瀬氏の言われる、命を捨てはじめていることが、ますます加速されていることになるのだろうか。命を捨てるとは、人間らしさを捨てると言い換えられるかもしれない。
 だとすれば、自分自身はどうかと省みると、それほどの危機感を持っていないというのが実感である。確かに、知人、友人との会食は出来ず、楽しみにしていた旅行もキャンセルとなったが、それ故に人間らしさを失ったとまでは思えない。ホスピス財団の本年を振り返っても、昨年はコロナ禍で、多くの事業が中止や、延期を強いられたが、本年はWEBを活用することにより、多少の違和感はあっても、全国から視聴できるという利点もあり、何とか事業を遂行できた。また、ホスピス・緩和ケア病棟においては、家族との面会が大きく制限された中ではあるが、幾ばくかの自由も許されていると聞いている。
 しかし、目を外に向けるとき、そこには、生活面、経済面などで多くの困難、苦難を強いられている人々が数多くおられることをマスコミ等で知らされ、さらにコロナ患者の方々が、全く外部と遮断されている状況は、河瀬氏の言われる命、人間らしさが捨てられているという表現は、正鵠を得ているのかも知れない。同時に、コロナにより充分な看取りもできず、葬儀もままならず、たとえ執り行えても少数の近親者だけという現実を見るにつけ、ある本で紹介されたイタリヤの哲学者ジョルジュ・アガンベンが、コロナ禍での最大の問題は、死者の尊厳が損なわれていることと、行動の自由が束縛されていることであると、イタリヤ政府やローマ教会を痛烈に非難したことを思い起こした。アガンベンは、義務としての健康を守るために、死者を独りで死なせ、葬儀もされずに燃やされることや、自由の中核にある移動の自由を自ら制限するとことを批判しているのである。
 勿論、この批判が正しいとは言えないかも知れないが、人は古来より、葬儀、埋葬を民族、国家を問わず大切にしてきたこと、死者を彼岸へ見送ることで、自らの生を思い返すという営みを繰り返してきたように考えると、アガンベンの問題提起は、私たちに対しての問いかけでもあるように思うのである。
 翻って、現実の病棟においてコロナと戦い、時には看取り、患者や家族の苦悩と向き合っておられる医療従事者の方々には、唯々感謝と敬服の思いのみであり、コロナ禍という未知の世界に突入している私たちには、多くの問題、課題が山積みであり、何をなすべきか定かではないが、ホスピス財団としての使命を、来る年も忠実に遂行したいと思うものである。
     
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ホスピス財団主催・協賛の研修会、セミナーのご案内
ホスピス財団第4回国際オンラインセミナーが開催されました
 
 
ホスピス財団第4回オンラインセミナーのチラシ   11月27日(土)14時から16時30分まで、カナダのMcGill大学のWhole Person Careプログラムの責任者であるHutchinson教授によるZOOMによるに国際オンラインセミナーが開催されました。
 当日は80名の参加(ZOOM)があり、土屋先生、三好先生が分かりやすく解説いただきました。
 セミナーの内容は、ホスピス財団ホームページと、日本Whole Person Care研究会のホームページで公開予定です。
     
ホスピス財団第4回オンラインセミナーの画面1   ホスピス財団第4回オンラインセミナーの画面2
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ホスピス緩和ケアファーラム2021が日本死の臨床研究会2021の年次大会の市民公開講座として WEB開催されます
 
 
ホスピス緩和ケアフォーラム2021のチラシ   ■日時:12月5日(日)14時~15時 

「死と共存する笑いの世界」
■演者:三遊亭竜楽

詳細はこちら 
https://site.convention.co.jp/jard45/
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関係団体の行事案内
第14回 アジア太平洋ホスピス緩和ケア大会(APHC2021)が神戸で ONLINE 開催されました
 
 
APHC2021のチラシ   ■日 時 2021年11月12日-14日
■場 所 ZOOMによるWEB開催
■参加者 約800名

 APHCでのWEB開催は、初めての経験でした。またほとんどがLIVE配信でしたので、時差もあり苦労もありましたが、大会運営委員の方々のご尽力で有意義に開催することができました。
 次回、第15回APHCは、2023年韓国ソウルでの開催予定です。
     
APHC2021の画面1   APHC2021の画面2
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情報コーナー
第4回日本グリーフケア&ビリーブメント研究会年次大会
 
第4回日本グリーフケア&ビリーブメント研究会のチラシ   ■日 時:2022年2月1日(火)〜  28日(月)Web 開催 オンデマンド配信 
■テーマ:遺族を支える実践と研究のこれから
■講 師:島薗 進(上智大学グリーフケア研究所 所長)
     田村恵子(京都大学大学院医学研究科 教授)
■シンポジウム:
     悲嘆研究のUp to Date / 突然の標津におけるグリーフ
     がん患者のグリーフ / 遺族ケアを行うときに知っておきたいこと
■参加費:会員 5,000円 / 非会員 7,000円 / 学生 2,000円 

詳細はこちら
https://js-gb.com/wp-content/uploads/2021/09/43c4d62f6fad987fef31da94dc300ce7.pdf
 
 
ホスピス・緩和ケアに関する新聞記事の紹介
 
・「リアル」と「虚構」の共存
映画監督の河瀬直美氏が、人類学者の山際寿一氏のことば「人は言葉によって世界を、時間を切り取ってしまった」を受けて、”生命は当然のことながら本来動くものである。けれど言葉に によってそれらはある意味「死」を迎える”と記し、コロナによって、そのことが強くなっている のではと考察している。
(毎日新聞 2021/11/29 掲載)

・がん検診6万件源
新型コロナウイルスの影響で、がん検診が減少したことを厚労省は懸念している。国立がんセンターの調査では、7割の医療機関で減少がみられたとのこと。
(読売新聞 2021/11/26 掲載)

・映画「水俣曼荼羅」
原一男監督の映画、「水俣曼荼羅」を紹介した記事。3部構成の6時間の超大作とのこと。原監督は、映画を通して”人間をつかむ”という視点で取り組まれている。
(毎日新聞 2021/11/26 夕刊掲載)

・マギーズ東京 行き詰まりそうな時、電話して
マギーズ東京の秋山正子センター長へのインタビュー記事。コロナ下でも相談窓口を開け続け、また電話やオンラインでも対応している活動が紹介されている。
(毎日新聞 2021/11/24 掲載)

 
 
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