今月のコラム |
熊本ホームケアクリニック 院長
ホスピス財団事業委員 井田 栄一 |
ホスピス緩和ケアを次世代に伝える 在宅医療に専従する診療所を熊本市に開設し、13年目になります。イエズスの聖心病院みこころホスピス担当医師だった前任の期間と同様の年月が経ちました。この四半世紀の癌におけるホスピス緩和ケアの経験を、医療依存度の高い疾患や高齢者に多い病気において生かしています。 熊本大学(熊本市)の医学生が、診療所での実習に来ます。臨床実習(ポリクリ)に進む前の3年生とポリクリを終えた5・6年生です。在宅医療の現場に同行訪問しますが、ホスピス緩和ケアについても伝えるように、ささやかな取組みをしています。 訪問宅を車で移動する時、2つのCDを学生と聴きます。先ず、日野原重明先生が医師として最初に担当した、結核性腹膜炎で入院する十六歳の少女の講話です。患者の心を支えることが一番大切と述懐されます。次は、柏木哲夫先生がセント・クリストファー・ホスピスのシシリー・ソンダース女史より、「ホスピスをやろうと思うならば、内科的な知識や経験が必要」と間接的な示唆を受け、「よし、やろう」と決心された話です。 「私の人生を大きく変えた言葉」と静かに語っておられます。 緩和ケア病棟にも医学生と訪問します。入院対象は今も悪性腫瘍患者ですが、1990年度の緩和ケア病棟創設時は末期の患者であり、2008年度から緩和ケアを要する患者に改定されました。それに伴い、緩和ケア病棟は、ホスピスとしての機能と外来や在宅への円滑な移行を支援する機能が期待されていると概説します。 緩和ケア病棟の病床数を人口100万人当たりで比較すると、20政令指定都市の中で最も多いのが、熊本市で273床です。岡山市・札幌市・福岡市と続きますが、200床未満です。熊本市において、癌で死亡する患者の45~50%が緩和ケア病棟で人生の最期を迎えています。全国平均の4倍程度と推察します。 その熊本市の緩和ケア病棟は、熊本・生と死を考える会によるホスピス創設の支援活動にも支えられ、1994年に始動しました。また1996年、熊本大学医学部が創立100周年記念事業として、柏木哲夫先生による市民公開講座「末期患者の願い~ホスピスでの経験から~」を開催したことは、地域社会への啓発になりました。 講演で末期患者が願う内容として、「(1)症状のコントロール(2)十分なコミュニケーション(3)親切なもてなし(4)生きがいの発見(5)最期の希望の達成」が紹介されました。学生実習において、私の在宅医療ではこの(4)(5)は今も課題と話したり、療養の場について考えたりしています。卒業生の多くが、全国で初期臨床研修を受けていますので、ご指導の程、宜しくお願いいたします。 |
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2019年度 調査・研究助成金のご案内【公募】 | ||||||||
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ホスピス・緩和ケアフォーラム2019 協力医療機関募集 | |||
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ホスピス財団 第2回 国際セミナー “米国の緩和ケアにおける倫理的ジレンマ” が開催されました | |||||
延命医療、医師による幇助死など、終末期医療が抱える様々な課題に対して、米国で実践されている実例を紹介しつつ、参加者によるグループワークが行われました。
■ 日 時:(1)2018年6月30日(土)13:30~18:30 (2)2018年7月1日 (日)13:00~18:00 ■ 会 場:(1)品川インターシティホール会議室 (2)梅田スカイビル スカイルーム ■ 講 師: Robert Macauley 先生(オレゴン健康科学大学医学部小児科 教授) ■ 参加者: 東京会場 52名 大阪会場 48名 |
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「ホスピス・緩和ケアに関する意識調査2018年」が発行されました | |||||||
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第18期事業報告書が出来上がりました | |||||
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ホスピス財団が後援する新しい映画「四万十・・いのちの仕舞い」が、公開上映されています | ||||||
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ホスピス財団の2018年度事業の紹介(4回シリーズ) その4 | ||||||||||||||
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『新たな全人的ケア・・医療と教育のパラダイムシフト』 好評発売中 |
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情報コーナー |
ホスピス・緩和ケアに関する新聞記事の紹介 |
・シリーズ記事 医療ルネッサンス「地域をつなぐ」6回連載 高齢化社会の中、医療のみならず生活支援を地域ぐるみで実践しているいくつかの町を紹介。 夕張市での“脱病院依存”、東京都足立区の“子どもに朝ごはん提供”名古屋市での生活ボランティア “男塾”そして、長崎市での緩和ケア普及のための地域プロジェクト(OPTIM)が在宅緩和ケアで多職種連携を行っている事例が紹介されている。 (読売新聞 2018/7/11〜18 掲載) |
・「ひとりの哲学」山折哲雄氏が語る 少子高齢化社会で、「ひとり」ということが、孤独、孤立という面から、「ひとり嫌い」の風潮にあるが、日本の歴史では「ひとり」が尊厳のある人間の行き方であることを、実例を上げて紹介した講演のレポート記事。 (毎日新聞 2018/7/11 掲載) |
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