今月のコラム |
市立芦屋病院 薬剤科部長 岡本 禎晃 |
先日第26回FAPA(アジア薬剤師会連合学術大会)に参加してきました。FAPAは2年に1回アジアの各地で開催され、薬剤師や薬学研究者、薬学生の集まる学会です。今回の大会はタイ王国のバンコクで開催され、参加人数は約1000名で、プログラムとしてはPlenary Sessionが5つ、シンポジウムが9つ、口頭発表が53題、ポスター発表が248題でした。発表のテーマは基礎薬学、薬学教育、病院薬局、地域の薬局など様々でした。 私は教育部会で日本緩和医療薬学会が実施した、日本の薬科大学・薬学部の緩和医療における卒前教育の実態調査について発表しました。この研究は日本緩和医療薬学会が実施した全国規模の調査で、緩和医療の教育の実態を明らかにしようとしたものです。結果として、緩和医療の教育は大学間でかなり差があることが解りました。また、薬学の特徴として基礎系の科目が多く6年制になっても伝統のある大学ほどその実態に変化が少なく、緩和医療への取り組みに消極的であることもわかりました。 質疑応答では“Bad News”という単語の意味を何人もの人に質問されました。最初は何を聞かれているのかわかりませんでしたが、緩和医療が専門でない人にとっては馴染みのない単語であったようです。もう一つ多かった内容は、緩和医療薬学会についてです。日本緩和医療薬学会は会員数が3000名を超え、その9割が薬剤師という世界的に類をみない学会です。このことは、ヨーロッパと同様アジアでも驚かれました。 他国の方がたとのディスカッションを通じて、緩和医療に関わっている薬剤師が少ないこと、関わっていても、医師からの質問に回答しているだけで、患者さんのニードを自ら感じるところまで到達している人は少なく、グリーフケアや遺族会への関わりなどが薬剤師として当たり前になるにはまだまだ時間が必要であると感じました。 日本では薬剤師もホスピス財団が主催される講演会や研修会などで勉強できる機会があることに改めて感謝しています。 |
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Hutchinson 教授による『『新たな全人的ケア』出版記念講演会が開催されました | |||||
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第2回 Whole Person Care 国際学会が、2017年10月にカナダ、モントリオールで開催されます | |||||
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『新たな全人的ケア・・医療と教育のパラダイムシフト』 好評発売中 | ||||||
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ホスピス財団の新しいパンフレットが出来ました | |||||||
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J-HOPE3が刊行されました | ||||||
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ホスピス・緩和ケア白書2016が発売中です | ||||||
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『旅立ちのとき・・寄りそうあなたへのガイドブック・・』が発行されました | |||||||
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個人賛助会費と一般寄附が、オンライン(クレジット決済)でも支払いが出来ます | ||||
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情報コーナー |
ホスピス・緩和ケアに関する新聞記事の紹介 |
・終末期医療の現場で、広がりつつある「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」を取り上げどうような最期を本人が希望するか、またその意思決定は誰がすればよいのかなど、死生観を含めた現状と課題を取り上げた4回特集記事
(読売新聞 2016/10/2~11月6日 掲載) |
・ニーズが高まりつつある「先進医療」に関して、国民健康保険や、民間の医療保険との関係や留意点について紹介した記事
(毎日新聞 2016/10/29 掲載) |
・がん患者が気軽に集まれる場としてオープンした「マギーズ東京」の紹介記事、およびがん以外の難病の方々が交流する「難病カフェ」を取り上げた記事。 また、マギーズなどの役割の大切さを語る、ドクター元ちゃん、西村元一医師の連載記事 (読売新聞 2016/10/26夕刊、毎日新聞 2016/10/30 掲載) |
・読売テレビア(大阪)ナウンサーの清水健さんの体験を紹介した記事。妻が乳がんになっても、出産を選び出産後、29歳で亡くなった、その体験とその後を語られた感動的な記事。 また、それを読んだ読者からの共感が紹介された記事。 (読売新聞 2016/10/9、28 掲載) |
・妻を亡くした体験と、お遍路でグリーフワークを実践し、その記録を「巡礼日記」(中央公論社)として出版した、日本対がん協会会長の垣添忠生さんが、その心境を語られた記事。
(読売新聞 2016/10/9 掲載) |
・日本死の臨床研究会の第40会全国大会が開催されるのを機に、研究会のこれまでの歩みとこれからの課題を、柳田邦男氏がコラムとして紹介した記事
(毎日新聞 2016/9/24 掲載) |
・がんとは何か。なぜ、がんになったのか、これらの問題を体全体で理解することで患者の生きる意欲を引き出す取り組みを始めている訪問看護ステーションを紹介した記事
(読売新聞 2016/9/18 掲載) |
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