今月のコラム |
淀川キリスト教病院副院長 ホスピス財団理事 福田 峰子 |
米国オレゴン州のホスピスを見学して 昨年、淀川キリスト教病院の姉妹病院である特定医療法人葦の会・オリブ山病院の理事長、看護職の方々と米国オレゴン州の医療、介護施設を見学する機会を得た。その中で、ホスピス施設であるホープウェルホスピスハウスを訪問した際の見聞について幾つか書き記したい。 ホープウェルホスピスハウスは、1987年に予後数か月の方や経済的に困難な方のための施設として開設し、現在は11床の独立型ホスピスとして、家庭的な家のような施設として運営されていた。 入所する方は、予後6カ月以内のあらゆる疾患を対象としており、アルツハイマー病、心臓バイパス術後、慢性閉塞性肺疾患の終末期の方、また、幻覚や気管切開など他施設ではケアできない方も紹介状があれば老人ホームやクリニックからも受け入れている。 平均滞在期間は、7日であるが、24時間365日の緊急入院を保証していた。また、入所している方が非日常を感じられるように結婚式、卒業式などの特別なイベントを行うサポートを行い、共同のキッチンには、地元の店からピザやドーナツなどの寄付があり、ご家族も含めて誰もが自由に利用できるアットホームな環境がそこにあった。 職員は、計47人、そのうち医師1人(夜間、週末は3人の非常勤医師がカバー)、師長2人、正看護師とCNA(Certified Nursing Assistant)という認定資格を持った看護助手は、8時間3交代の勤務シフトであった。チャプレンは毎日訪室、ボランティアは90人が在籍し5時から21時まで活動されていた。 ホスピスで働き続けられる秘訣について聞いたところ、施設の方によると、「正看護師は、主にパート勤務で週に3~4日という働き方である。生活とのバランスがとれているためバーンアウトすることはない。しかし、ホスピスでの働きは“仕事”と割り切るとつらくなる。ホスピスで働く職員に大切なことは、ホスピスで働きたいという思いを持ち、終末期の方々に仕えたいという情熱である」との説明を受け強く印象に残った。 日本と比較して設備や職員数、働き方は違うが、ホスピスに携わる者の「患者に仕えたい」という情熱は世界共通であることに感動を覚えた。また、将来、日本のホスピスへの入所対象者が、がん以外の方にも拡大されるのではないかと示唆される有意義な見学であった。 |
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『新たな全人的ケア・・医療と教育のパラダイムシフト』 好評発売中 | ||||||
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ホスピス財団15周年記念講演会が開催されました | ||||
「あなたは、どのような最期を望みますか」をテーマに15周年記念講演会が開催されました。 とても暑い日でしたが、多数のご参加をいただきました。講師の志真先生より、ホスピス・緩和ケアの歴史から現在、そして、多死社会を迎える、これからの課題をご自身の体験を交えて、わかりやすく語っていただきました。 |
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第9回 Whole Person Careワークショップのご案内 | |||||||
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Ellershaw 教授による講演会&シンポジウムのご案内 |
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『新たな全人的ケア・・医療と教育のパラダイムシフト』出版記念講演会 お申込受付中! |
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J-HOPE3が刊行されました | ||||||
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ホスピス財団ニュース 30号(2016年4月)が発行されました | ||||||
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ホスピス・緩和ケア白書2016が発売中です | ||||||
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ホスピス財団の2016年度事業の紹介(4回シリーズ) その4 | ||||||||||||||
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『旅立ちのとき・・寄りそうあなたへのガイドブック・・』が発行されました。 | |||||||
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個人賛助会費と一般寄附が、オンライン(クレジット決済)でも支払いが出来るようになりました | ||||
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情報コーナー |
ホスピス・緩和ケアに関する新聞記事の紹介 |
・介護療養病床が2017年度末で廃止されることになっているが、今後は在宅への転換を含めて
その対応についての課題を紹介した記事
(毎日新聞 2016/6/19 掲載) |
・鎌田 實氏の“さあ これからだ”シリーズ。長野県でがん死亡率が低い理由を紹介するとともに、緩和医療の充実が大切であることを紹介した記事
(毎日新聞 2016/6/19 掲載) |
・“ドクター元ちゃん、がんになる”シリーズ2回目「取るなら今しかない」 金沢赤十字病院副院長の西村 元一医師の体験談 (月1回連載) (毎日新聞 2016/6/12 掲載) |
・寺離れが言われている中、インターネットを通じて僧侶を手配し、法要を斡旋するビジネスが増えてきていることを紹介した記事、その賛否両論も紹介されている
(読売新聞 2016/6/7 掲載) |
・この春亡くなった小児がん経験者の高校教師、延 哲也さんが最後の授業を行ったことと、その生き様を紹介した記事
(毎日新聞 2016/6/1 掲載) |
・話題のがん治療薬「オプジーボ」の利用者が増えることにより、健康保険の医療費が膨らみ
大きな問題となりつつあることを紹介した記事
(毎日新聞 2016/5/31 掲載) |
・厚生労働省が、がん患者が治療をしながら、就労を支援するガイドラインを発表し、それを実践している企業と体験者を紹介した記事
(毎日新聞 2016/5/30 掲載) |
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