(公財)ホスピス財団 メールマガジン「今月のお便り」 vol.14
今月のコラム
 
榎原 良行先生

社会福祉法人
キリスト教ミード社会館
理事長
ホスピス財団 理事

榎原 良行
  イエス・キリストのホスピタリティー
 ホスピスと語源を同じくする英語、ホスピタリティーは、親切なもてなしと訳され、次々回のオリンピック開催地選以来、日本中が今や“おもてなしの心”一色である。
 なるほど、プロジェクトのキーワードとしては結構だか、商業的な押しつけがましさを時として感じると言う人もある。私は、その言葉のイメージがぴったり当てはまる個所が他ならぬ新約聖書の中にあると思っている。マタイの福音書11章28節「疲れた者、重荷を負う者は誰でも私のもとに来なさい。休ませてあげよう」。説明を要しない有名な個所である。もう一個所、同じマタイの福音書20章に、農園の主人がブドウ園で働く労働者を雇うために、朝から何回も出かけて行って、何もしないで広場に立っている人々に1デナリオンの約束で、ブドウ園に人を送る譬(たと)えがある。主人が「最後に来たものから始めて、最初に来たもので順に1デナリオンを払ってやりなさい」と監督に言うと、朝早くから働いた人と夕方5時に来て1時間しか働かなかった人が、同じ賃金に不平を言った人に対して、主人は「私はこの最後の者にも、あなたと同じように払ってやりたいのだ」というこの譬え。我々の社会のルールでは確かに首をかしげるこの裁断も、死の間際まで、神様を告白する機会を持たなかった者にまで、同じように天国に受け容れてやりたいのだと言ってくださっているように思える。人の一生の最後の最後まで用意してくださっている神様の大きな広い愛、神が人間に提示くださるホスピタリティーの極みと思う。
 私どもの社会館は、1908年にアメリカ人宣教師ミード女史が淀川区十三に創立したバプテストの女子神学校を前身とするが、現行の地域福祉活動の中に43年間続けられてきた老人配食サービスがある。調理・配達にボランティアが協力くださり、日曜・祝日を除く365日型配食サービスで、台風が来る日も、雪の降る日も休まず続けられてきた。一日約50食を地域の独居老人を中心に配る。今の時代にあっても、その多くは経済的にも住居環境的にも充分ではない。そして暖かい食事の配食サービスの、もう一つの大事な役割は安否確認である。“今日もお元気そうでいいですね”と話しかけてくれるボランティアさんと、それまで会話のなかった寂しさをまぎらわせる。中にはベルを押しても応答がなく、郵便物が滞留している場合、最悪の結果に遭遇するケースも。また同じ応答のない場合でも、行き慣れたボランティアさんが何かを感じて、民生委員と中に入ってみたら、本人は柱と家具の間に挟まれて何時間も倒れたまま動けなかったが、命を落とされずに済んだケースもあった。この仕事は、イエスが言われるルカの福音書10章37節「行って、あなたも同じようにしなさい」を理念に抱く私どもが提供出来る小さなホスピタリティーと考えている。
 
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APHC 2015 in TAIPEI
 
APHC2015 in TAIPEI 小冊子の表紙    第11回アジア太平洋ホスピス会議(APHC/隔年開催)が、4月30日から5月3日まで台湾・台北市で開催されました。30カ国以上から、1315名の参加があり、特に今回は台湾開催ということもあり中国から200名以上が参加され、今後はAPHCと中国との関わりが益々強くなりように感じられました。日本からは47名が参加されました。
 会議のテーマに関して、こどもホスピスに関する発題が多かったことや、スピリチュアルケア分野で台湾では仏教・道教と連携した優れたホスピスケアがなされていることなどが印象的でした
 
4月30日 会議場正面にて。ホスピス財団から参加した柏木理事長、大谷事務局長  
4月30日 会議場正面にて。
ホスピス財団から参加した柏木理事長、大谷事務局長
     
会議場近くの台北101  
会議場近くの台北101
地上101階 高さ509m
晴天の日だけ上層部が見えます。
     
4月30日 Round Table Discussion
中国を視野に入れた今後のAPHNの取り組み方について意見交換がなされました。
(写真中央は柏木理事長)
 
4月30日 Round Table Discussion 中国を視野に入れた今後のAPHNの取り組み方について意見交換がなされました。 (写真中央は柏木理事長)
     
5月1日 Hinohara Lecture
海外招待演者としてカナダから
Hutchinson先生がWhole Person Careについて熱心に語られました。  
5月1日 Hinohara Lecture
海外招待演者としてカナダから Hutchinson先生がWhole Person Careについて熱心に語られました。
 
講演抄録はこちら
     
5月1日 An Eastern Approach to Suffering.
台湾からはスピリチュアルケアに関して、東洋と西洋に違いを紹介する興味深い発表もありました。  
5月1日 An Eastern Approach to Suffering.
台湾からはスピリチュアルケアに関して、東洋と西洋に違いを紹介する興味深い発表もありました。
 
講演抄録はこちら
     
5月2日 Gala Dinner (懇親会)
多くの方々と良い交流がなされました。約800名参加  
5月2日 Gala Dinner (懇親会)
多くの方々と良い交流がなされました。
約800名参加
     
日本から参加の方々。
(5月2日 Gala Dinner の後で記念撮影。参加者47名全員ではありません)  
日本から参加の方々。
(5月2日 Gala Dinner の後で記念撮影。参加者47名全員ではありません)
     
5月3日 龍山寺
参拝者の多さに台湾の人々の信心の強さが表れているように思えました。手前にはお菓子や果物などの
供え物が山積みされています。  
5月3日 龍山寺
参拝者の多さに台湾の人々の信心の強さが表れているように思えました。手前にはお菓子や果物などの 供え物が山積みされています。
     
雨にもかかわらず、太極拳(?)を
する熱心な人たち。台北101広場にて。
 
雨にもかかわらず、太極拳(?)を する熱心な人たち。台北101広場にて。
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ホスピス・緩和ケアボランティア研修会
 
ホスピス・緩和ケアボランティア研修会のチラシ  
■ 日 時:2015年6月12日(金)13:00~16:30(12:30受付)
■ 会 場:奈良県立文化会館ホール
■ 参加費:無料(資料代 1,000円)
■ 講 演:「寄り添うって? 聴くこと語ることの本当の意味」
      佐藤 泰子氏
     (京都大学大学院 人間・環境学博士課程修了
      京都大学・京都看護大学等にて嘱託講師)
■ 活動発表:「グループふれ愛」の活動報告
      塚野 加世氏
     (四国がんセンターボランティア「グループふれ愛」代表)
 
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ホスピス・緩和ケアボランティア研修会
 
ホスピス・緩和ケアボランティア研修会のチラシ  
■ 日 時:2015年7月23日(金)11:00~16:00(10:30受付)
■ 会 場:熊本市国際交流会館
■ 参加費:無料(資料代 1,000円)
■ 講 演:「輝いて今を生きる」
      山岡 憲夫氏
     (やまおか在宅クリニック 院長
      医学博士 大分大学医学部 臨床教授)
■ 活動発表:
   みこころボランティアの活動 ・・・イエズスの聖心病院ボランティア
   淀キリ ボランティア史と現況・・・淀川キリスト教病院ボランティア
 
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第7・8回 Whole Person Care ワークショップのご案内
 
第7・8回 Whole Person Care ワークショップのチラシ  
 好評のWhole Person Careワークショップが3年目を迎え、本年度も大阪と札幌で開催されます。
皆様のご参加をお待ちいたします。(第1回~第8回は同じ内容です)

開催日:第7回大阪会場/2015年8月8日(土)
            第8回札幌会場/2015年8月22日(土)
 
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ホスピス財団ニュース 28号が発行されました
 
ホスピス財団ニュース28号の表紙  
 ホスピス財団の活動を紹介した機関紙「ホスピス財団ニュース」28号が発行されましたので是非ご覧ください 。
 
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ホスピス財団の2015年度事業の紹介(4回シリーズ)
 
その3
 
 ホスピス財団の本年度の活動計画が、2月のホスピス財団事業委員会で企画・立案され 3月の理事会にて承認されました。今回は、ホスピス・緩和ケアに関する普及・啓発事業について その概要をご紹介いたします。
 
ホスピス・緩和ケアフォーラム開催事業
 
『これからのとき』の冊子増刷
 
新・旅立ち(仮称)出版事業
 
Whole Person Care日本語版発行事業
 
一般広報活動事業
 
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個人賛助会費と一般寄附が、オンライン(クレジット決済)でも支払いが出来るようになりました
 
決済サービスのwebページの一部    ホスピス財団では、新しく CANPAN決済システムを導入し、ご自宅のパソコンを使用して賛助会費(個人)と一般寄附の支払いが可能になりました。郵便局や銀行へ出向く必要がなく手軽に利用できますので、是非、ご活用ください。詳細はホームページを参照してください。
 
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ホスピス財団の新パンフレットをお分けしております
新しくなったパンフレットの表紙    一人でも多くの方々にホスピスの使命とホスピス財団の働きを知って戴きたいとの思いから、 一般の方にも分かりやすいパンフレット『私たちはホスピス財団です』を制作いたしました。 是非、ご活用ください。ご希望の方には無料で送付いたしますので、ホスピス財団へ E-MAILで、送付先、必要部数を明記してお申し込みください。
 また、ホームページにも掲載しております。
 
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情報コーナー
セミナー関係
 
第20回 日本緩和医療学会学術大会 のポスター   第20回 日本緩和医療学会学術大会 6月19日~20日
会場:パシフィコ横浜
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病院ボランティア研修会のポスター   病院ボランティア研修会 2015研修会in松江 7月10日 13時~16時
会場:松江テルサ4F

「災害時のボアランティア活動」
講演:芦田 泰弘氏
   吉村 規男氏
 
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新刊紹介
 
"輝く子どものいのち"の表紙   輝く子どものいのち ・・・こどもホスピス・癒しと希望・・・
鍋谷まこと・藤井美和・柏木道子編   いのちのことば社  1800円+税

 本書の特徴を一言でいうと、「臨床的」だということです。
「こどもホスピス」での体験を通して、子どものいのちについて、生きる意味について、死について、本人、家族、スタッフが 考えたこと、気づいてことが記されているからです。(序文より)
ホスピス・緩和ケアに関する新聞記事の紹介
 
・高齢者の薬漬けを防ぐ目的で、「かかりつけ薬局」制度の検討が始まったことを紹介した記事
(読売新聞 2015/5/11 掲載)

・コーヒー、緑茶をよく飲む人は心疾患のリスクが少ないことを紹介した記事
(毎日新聞 2015/5/8 掲載)

・体の外から光を当てて、がん細胞を破壊する治験を紹介した記事
(毎日新聞 2015/5/6 掲載)

・認知症にも初期からのチームケアが必要であり、その為の「新オレンジプラン」がスタートすることを紹介した記事
(読売新聞 2015/5/3 掲載)

・日本で司祭50年を迎えた上智大学のアルフォン・デーケンさんを紹介した記事
(朝日新聞 2015/5/1 掲載)

・特集記事;医療ルネッサンス「骨転移」 5回シリーズ
(読売新聞 2015/4/17~28 掲載)

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