module9.症状マネジメントとしてのセデーション
教育時期 教育方法 目 的 大項目 小項目 評 価
経験2年目:前期 講義
ケ−スカンファレンス
自習
1)セデ−ションの考え方
・セデ−ションの定義、目的、倫理的な側面を理解する。
(1)セデ−ションの定義 ・専門家の多くは、鎮静(セデ−ション)を「苦痛の緩和を第一の目的とした、鎮静剤の投与(または、意識を低下させる意図的行為)」とみなすことにおいて一致している。更にその苦痛は、耐えがたく、かつ、標準的治療に反応しないという2点に特徴づけられているが統一した見解はない。
・清水(1999)は「意識レベルを落すことによって苦痛を感じさせなくする治療であり、苦痛とは身体的苦痛だけでなく、心理的苦痛も含めた全人的苦痛(Total Suffering)である」と定義づけている。
・森田(1999)は「標準的治療に反応しない耐えがたい苦痛を、患者の意識を低下させることによって緩和するために、鎮静作用のある薬物を投与すること」と定義づけている。
□セデ−ションに対する正しい認識を持ち、倫理的な側面があることを説明できる。
(2)セデ−ションの目的 ・緩和ケアにおいて終末期後期から、死亡直前までの患者の16〜51%にセデ−ションが行われており、その多くは死亡前数日以内である。目的は症状緩和であるが、その対象になるのは。せん妄、呼吸困難、全身倦怠感、難治性の疼痛、吐気があげられている。
(3)セデ−ションの倫理的側面の検討 ・セデ−ションが余命を短縮する可能性がある場合について:苦痛緩和を意図しているか
・セデ−ションと安楽死の違いについて:「意図的に命を縮める」という要素はないか
2)セデ−ション前後の看護
・セデ−ション前後の患者と家族の看護について理解する。
(1)患者・家族の意思決定 ・患者・家族と話し合って、実施についてあらかじめ検討しておく。
・患者の希望を十分に確認し、家族の意向とのずれがある時は調整を行なう。
・セデ−ションがその時点で最良na選択であり、患者の選択であると家族が考え続けることができるように支援する。
□セデ−ション前後の患者と家族の看護が実践できる。
(2)セデ−ション開始の際の検討事項 ・患者の苦痛は、他のいかなる方法を実施しても、その苦痛は緩和されることがないのか。
・患者が緩和され得ない苦痛にもはや耐えられないのか、患者・家族の希望や意思は把握しているか。
・患者がセデ−ションを希望しているのか、家族は合意しているのか。
・患者の現在の身体状態、今後予測される変化及び、予後はどうか。
・「見ているのがつらい」など周囲の者の理由を「患者はもはや苦痛に耐えられない」という判断と取り違えてないか。
・セデ−ションの必要性について医療チ−ムで話し合い、共通理解できているか。
(3)セデ−ション開始時の看護 ・患者の残り時間内できるような、やり残したことがないか確認する。
・やり残したことがあれば可能な限りその思いが叶えられるように援助する。
・患者と家族の人格的な別れのため、コミュニケ−ションの時が可能な限り最後まで持てるように支援する。
(4)セデ−ション中の看護 ・セデ−ションの深さの調節
・基本的な日常生活援助(清潔、排泄、安楽体位の維持)
・外観変貌の予防を必要に応じて行なう
・家族への配慮、家族のケアへの参加を促す




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