module9.症状マネジメント:呼吸器系
教育時期 教育方法 目 的 大項目 小項目 評 価
経験1年目:後期 講義
ケ−スカンファレンス
自習
1)呼吸困難
・終末期がん患者の呼吸困難の病態生理と治療、看護を理解する。
(1)呼吸困難の定義 呼吸困難とは、呼吸促迫や過剰呼吸のことだけでなく、不快感があって努力呼吸をしている状態である。また、呼吸困難はあくまで主観的なものである。 ・呼吸困難のある患者の看護が実践できる。
(2)呼吸困難の病態生理 ①肺性 
・呼吸面積の減少
 がん性胸膜炎、無気肺、残存肺肺炎、治療関連間質性肺炎、原発肺がん・肺内転移の増大、気胸、がん性腹膜炎
・気道狭窄
 喀痰貯留・去痰困難、気管・太い気管支の狭窄
②非肺性 
・循環器系の障害
 上大静脈症候群、がん性心膜炎、心不全
・その他
 貧血、発熱、疼痛
③心因性
 
(3)呼吸困難に対する治療 ・オピオイド
・ステロイド
・抗不安薬
・酸素療法
・抗生物質
・気管支拡張剤
 
(4)呼吸困難のある患者への看護 ・体位の工夫
・ADLの介助
・環境の調節
・排便コントロ−ル
・食事の工夫
・肺理学療法
・精神的ケア
・コミュニケ−ションの工夫
 
2)咳嗽
・咳嗽の原因と治療、看護を理解する。
(1)咳嗽の原因 ・がん自体によるもの
 肺腫瘍(原発性・転移性)、がん性リンパ管症、心嚢水、心タンポナ−デ、誤嚥、食道気管支瘻、声帯麻痺、感染、痰貯留
・がん治療に伴うもの
 放射線治療後の肺の線維化、化学療法後の肺の線維化
・がん以外のもの
 喘息、肺線維症、うっ血性心不全、喫煙
□咳嗽のある患者の看護が実践できる。
(2)咳嗽の治療 ・去痰可能であれば、去痰薬を使用し効果的な咳嗽ができるように指導する。
・咳嗽を繰り返す場合ことによる不快感や病状の悪化が懸念される場合は鎮咳薬、オピオイド、コルチコステロイド、分泌抑制剤を使用する。
 
(3)咳嗽のある患者への看護 ・環境の調整
・体位の調整
・必要時は吸引
・誤嚥の予防
・精神的ケア
 
3)死前喘鳴
・死前喘鳴の治療と看護を理解する。
(1)死前喘鳴について 患者が衰弱し死が切迫したときに、気道内に分泌物が増加して、その振動によって下咽頭から喉頭にかけてゴロゴロ音がする状態 □死前喘鳴のある患者の看護が実践できる。
(2)死前喘鳴の治療 ・臭化スコポラミンの投与、輸液の中止、意識があり苦痛な場合は鎮静を考慮  
(3)死前喘鳴のある患者の看護 ・体位の工夫(気道の確保)
・必要時気道の吸引
・家族への説明
 




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