module10.HIVとAIDS
教育時期  教育方法 目 的 大項目 小項目 評 価
経験3年目:後期 講義
ケ−スカンファレンス
自習
1)HIVの疫学と病態、診断、治療
・HIVの病態、診断、治療を理解する。
(1)HIVとは ・定義:HIV(human immunodeficiency virus ヒト免疫不全ウイルス)は、レトロウイルス科
レンチウイルス亜科に分類されるレトロウイルスである。HIVは、細胞表面のCD4とケモ下院レセプタ−(HIVのコレセプタ−)を使って感染を開始する。
・HIVの病態と診断と治療を説明できる、
      ・世界・日本における動向  
    (2)HIV感染症の病態 ・急性期  
      ・無症候性キャリア期(asymptomatic carrier:AC)   
      ・AIDS関連症候群(AIDS-related complex:ARC)   
      ・後天性免疫不全症候群(acquired immunodeficiency syndrome:AIDS)  
    (3)HIV感染症の診断 ・臨床症状  
      ・スクリーニングテスト(ゼラチン粒子凝集法;PA法、酵素免疫測定法;ELISA法)  
      ・確認試験(間接蛍光抗体法;IFA法、ウェスタンプロット法;WB法)  
      ・抗原検査法(放射性免疫沈降法;RIPA法、ウイルス検索(培養、PCR)  
    (4)HIVの治療 ・抗HIV薬について  
      ・多剤併用療法(highly acutive antiretorovirus therapy:HAART)*高額である  
  2)AIDSの診断と治療 (1)AIDSの診断 ・HIV‐1感染者で、カンジダ症など厚生労働省が示した23の指標疾患の1つ以上が認められた場合 □AIDSの診断と治療を説明できる。
  ・AIDSの診断と治療を理解する。    にAIDSと診断される。その後、指標疾患が治癒してもAIDSという診断は継続される。
    (2)AIDSの治療 ・HIVの治療に準ずる
      ・日和見感染と治療 (CD4陽性細胞数の減少と日和見感染症との関係)
  3)感染症看護の基本的理解 (1)AIDS患者と終末期がん患者 ・年齢が若い □感染看護の基本とAIDS患者の看護について説明できる。
  ・感染症看護の基本と、AIDS患者に必要な看護を理解できる。   の相違点 ・多彩な症状
    ・多数の合併症
      ・多数の薬剤の投与  
      ・終末期の判断が困難  
      ・時に積極的な治療が必要  
      ・死に至るまでの過程が長い  
      ・治療法の変化と進歩  
      ・孤独、葛藤、患者・家族に対する同情の欠如  
      ・家族などのサポート体制の欠如  
    (2)患者家族への心理面の援助と HIV感染症自体が差別と偏見の対象となっている現状では、患者が社会や家族から支援を得られない  
      セルフケアの促進 場合もある。また患者自身が病気を理解し日常生活を送れるようセルフケアの促進が必要である。  
    (3)日和見感染症発症に伴うケア ・発熱に伴うケア  
      ・呼吸器症状へのケア(カリニ肺炎、結核、非定型抗酸菌症、カポジ肉腫など)  
      ・消化器症状へのケア(CMV食道潰瘍、口腔内アフタ、カンジダ症、悪性リンパ腫など)  
      ・皮膚粘膜症状へのケア(カンジダ症、帯状疱疹、単純疱疹、白癬、脂漏性湿疹、カポジ肉腫など)  
      ・脳神経症状へのケア(トキソプラズマ症、進行性多巣性白質脳症、HIV脳症、悪性リンパ腫など)  
      ・眼症状へのケア(CMV網膜炎、カポジ肉腫、悪性リンパ腫など)  
      ・転倒、転落などの事故予防(特にHIV脳症)  
      ・ADLに対するケア  
    (4)院内感染予防策 ・ユニバーサル・プリコーション(統一的防御措置)  
    ・二次感染の予防  
    ・汚染事故の防止  
      ・針刺・汚染事故後の対処  
    (5)社会的資源の活用  ・1998年より身体障害者として認定  
      ・医療費の負担大きく、MSWの介入・協力を得るなど連携し、医療社会福祉に関する情報提供が必要  
      ・ボランティアによる支援なども各地で活動を始めており、情報収集した上で紹介することも有効  
        ・外国人患者に対する対応(言語の問題・社会保障や経済的問題・生活習慣の違いなど)  




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