(公財)ホスピス財団 メールマガジン「ホスピス財団便り」 vol.10
   
今月のコラム

大谷 正身 氏
ホスピス財団 事務局長
大谷 正身
  新しい家族
 コロナ感染症はまだ完全に終息したとはいえないまでも、第5類へ移行され、ホスピス・緩和ケア病棟でも以前ほどの面会制限はなくなりつつあるようだ。
 コロナ感染症が騒がれ始めた2020年春以降、コロナに罹患し亡くなった方に家族は最期の面会も叶わなかったが、そのころイタリアの哲学者ジョルジュ・アガンベンが、“コロナ禍によって教会で死者の葬儀が行えないということは、人間の、そして死者の権利を奪い取ることである”と強く訴えたことが思い起こされた。確かに面会制限は、最愛の家族とも顔を合わせることなく旅立つという、やるせなさ、切なさを強いるものであったと感じるが、ようやく私たちは、その権利を取り戻したといえるのかも知れない。
 先月、ラジオ番組で、作家の高橋源一郎氏が、中村智志著『大いなる看取り 山谷のホスピスで生きる人びと』(2008年新潮社刊)を紹介されたのを聴いた。ホームレスや身寄りのない人が、がんを患い、どこへも行き場がなく、最後に辿り着くのが山谷にある「きぼうのいえ」というホスピスだそうだ。著者の中村氏は、その「きぼうのいえ」で最期を迎えた多くの方々の生き様を記録している。そして家族も知人も誰も訪ねることなく旅立つ人々の多くが、最期に口にするのは、医師や看護師などケアをしてもらった方々への感謝だそうだ。その箇所を読んだ高橋が、「これらの方々は家族には看取られなかったが、ケアをされた医師、看護師の方々こそ、その人にとっての“新しい家族”になったのだと思う」と締めくくられ、とても心に残った。
 「きぼうのいえ」に限らず、今も家族や知人が訪れることもなく、ホスピス・緩和ケア病棟で最期を迎える方々もおられるのではないだろうか。しかし、その時にこそ、ケアをする医療者が“新しい家族”として寄りそい、旅立ちを見送ることができる、そのようなホスピス・緩和ケアであって欲しいと望むものである。

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ホスピス財団主催・協賛の研修会、セミナー、出版等のご案内
第6回ホスピス財団国際セミナーが開催されます
 
 
第6回ホスピス財団国際セミナーのチラシ    カナダのMcGill大学のWhole Person Careプログラムの責任者であるHutchinson教授をお迎えして国際セミナーを開催いたします。

■テーマ  :Whole Person Careの共育
■大阪会場 :2023年11月18日(土)13:00~17:00
       梅田スカイビル会議室A イーストタワー22階
■東京会場 :2023年11月19日(日)13:30~17:30
       品川インターシティ会議室
■講師   :Tom A. Hutchinson教授(McGill大学医学部) 逐次通訳付
       品川インターシティ会議室
■ファシリテーター:
       恒藤 暁 氏(京都大学医学部附属病院 緩和医療科 教授)
       土屋 静馬 氏(昭和大学 医学教育学講座 准教授)
       三好 智子 氏(岡山大学学術研究院医歯薬学域
               くらしき総合診療医学教育講座 准教授)
■対象者  :医療関係者


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日本死の臨床研究会 年次大会が開催されます
 
 
日本死の臨床研究会のwebサイト画面   ■テーマ  :お遍路の里・四国から 死に学び生を考える~看取りを文化に~
■日 程  :2023年11月25日(土)~ 26(日)
■会 場  :愛媛県県民文化会館
       〒790-0843 愛媛県松山市道後町2丁目5-1 1F

 25日には特別講演『ホスピスのこころ』日本のホスピス50周年記念と題してホスピス財団理事長 柏木哲夫氏が講演されます。
 また、26日にはホスピス財団共催の市民公開講座として、
・トーク&コンサート「看取りから芸術へ」
 演者:智内兄助(洋画家、大会ポスター原画作者)
    智内威雄(左手のピアニスト)が出演されます


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ホスピス緩和ケアボランティア研修会が開催されました
 
 
ホスピス緩和ケアボランティア研修会2023のチラシ    今回は、関本雅子先生をお迎えして神戸で開催されました。
(ハイブリッド開催)

■日 時:2023年7月28日(金)
■会 場:三宮コンベンションセンター
■参加者:対面 50名    Web 96名

ホスピス緩和ケアボランティア研修会の様子-1   ホスピス緩和ケアボランティア研修会の様子-2


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第8回 Whole Person Care 研究会が開催されました
 
 
第8回 Whole Person Care 研究会のチラシ

Whole Person Care 特別講演のチラシ
   日本 Whole Person Care 研究会主催の「第8回WPC研究会」が
8月19日(土)対面とWebにて札幌医科大学で開催されました。
 講演内容は以下URLの日本Whole Person Care研究会で公開されます。
 https://www.hospat.org/wpcj-index.html

第8回 Whole Person Care 研究会の様子-1   第8回 Whole Person Care 研究会の様子-2   札幌医科大学の外観
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新 Whole Person Care ワークショップが開催されました
 
 
新 Whole Person Care ワークショップ2023のチラシ    4年振りに開催されたワークショップです。参加者はやや少なかったが、中身の濃いワークショップとなりました。

■コースⅠ:2023年8月26日(土)9:30 ~ 18:00   参加者 12名
 コースⅡ:2023年8月27日(日)9:30 ~ 17:00   参加者   8名


新 Whole Person Care ワークショップ2023の様子ー1   新 Whole Person Care ワークショップ2023の様子ー2


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「ホスピス緩和ケア白書2023」が完成いたしました
 
 
『Whole Person Care教育編』の表紙   「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)の概念と実践への取り組み」を特集テーマにホスピス緩和ケア白書2023が完成いたしました。



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「ホスピス・緩和ケアに関する意識調査2023年」が発行されました
 
 
『ホスピス・緩和ケアに関する意識調査2023年』の表紙    本調査は過去4回(2006年、2008年、2012年、2018年)実施されてきましたが、この度5年振りに、5回目が実施され、報告書が発行されました。「人生100年時代の逝き方」と題して、終末期医療に関して数々の興味深いデータが掲載されていますので、是非ご覧ください。



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ホスピス財団ニュース44号が発行されました
 
 
『ホスピス財団ニュース44号』の表紙    意識調査2023年「人生100年時代の逝き方」 他、財団関連のニュース掲載。



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映画『明日香に生きる』のご案内
 
 
映画『明日香に生きる』のポスター   ホスピス財団が後援している溝渕正幸監督の映画が全国で順次上映されています。

予告編など 詳細はこちら
https://www.inochi-hospice.com/asuka/
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『Whole Person Care 教育編』が好評発売中です
 
 
『Whole Person Care教育編』の表紙    2016年度に出版した『新たな全人的ケア』(Whole Person Care日本語版)、および2020年度に出版した『Whole Person Care 実践編』(Whole Person Care: Transforming Healthcare 日本語版)に続き、その教育編として『Whole Person Care教育編』(MD-Aware 日本語版)が発売されました。

■ 訳 者:土屋静馬氏、三好智子氏
■ 監 訳:恒藤 暁氏 
■ 出版元:三輪書店
■ 発 売:ホスピス財団
■ 売 価:2000円(税別)


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情報コーナー
 
ホスピス・緩和ケアに関する新聞記事の紹介
 (記事のコピー等をご希望の方はホスピス財団事務局へご連絡ください。)
 
・地方から変えていく・・・滝野隆治の掃苔記
身寄りのない高齢者の最期、看取り、お墓の問題はこれからの大きな課題であるが、それを解決する国の対応はまだである。しかし横須賀市はこの課題に対して「先進自治体」として注目されている。地方から変えていくことの必要性が語られている。。
(毎日新聞 2023/08/27 掲載)

・「死」を意識、今を大事に生きる ・・・池上彰のこれ聞いていいですか?
がん患者との交流や在宅医療の現場など「死」をテーマに取材、執筆してきたノンフィクション作家の佐々涼子さんは、今、自らが悪性脳腫瘍での闘病生活を送っている。しかし、絶望の後にも必ず希望があることを語っている。人生は長さではなく質であるという言葉は重い。
(毎日新聞 2023/08/27 掲載)

・臨床宗教師 静かな広がり
東日本大震災で始まった宗教者による心のケアは、その後、東北大学が臨床宗教師養成講座を開設し、資格認定制度もできた。また、2016年には「日本臨床宗教師会」が設立され広がりつつあるが、受け入れる施設は未だ少ないという課題もある。
(読売新聞 2023/08/22 掲載)

・遺族ケア 死別の悲嘆 対処に課題
家族や大切な人を亡くした人に対して、接し方によっては、遺族を傷つけてしまうこともあるが、どのように接せるべきかを、グリーフケアの専門家、団体から情報収集した記事。関西学院大学の坂口幸弘教授は「悲嘆の表われ方や必要なケアの方法は人によって違う。そのことを知った上で、知識を持つことは、自身が死別などで悲しみを抱えたときの向き合い方に選択肢が増えるメリットもある」と話す。
(読売新聞 2023/08/09 掲載)

・介護保険の危機・・・シリーズ 地球を読む 垣添忠生(日本対がん協会会長)
2000年に始まった介護保険制度が、高齢者の増加や介護職員の不足などで、危機的状況になっているが、これを解消するために、垣添氏は、
1.健康寿命を延ばす努力、
2.人材不足を補うために外国人労働者の活用、
3.介護現場でのAIの活用
を提言されている。
(読売新聞 2023/08/06 掲載)

・無縁社会に処方箋 「没一」著者 小谷みどりさんに聞く
単身世帯が急増し、今や日本では3分の1が単身世帯である。夫婦でもやがてパートナーに先立たれると、一人になる。自分の遺骨やお墓はどうなるかも分からないという、無縁社会にどうような準備、心構え必要かをインタビューした記事。友人や地域「共助」の絆が大切と小谷さんは説いている。
(毎日新聞 2023/08/01 掲載)

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新しくSyncable(シンカブル)決済サービスに移行いたしました。
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