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第7期事業報告書
(自:2006年4月1日  至:2007年3月31日)

[概括]

2006年度(平成18年度)の事業は、概ね当初の計画通り遂行することができました。当初計画した18件の事業のうち、新規事業の一つである「遺族によるホスピス・緩和ケアの質の評価に関する研究」(複数年継続予定)は対象施設が100、対象遺族が8000名を超える大規模なものとなっており、各施設の承認取得に予想以上の時間を要したため、計画通りに進捗しませんでした。他方、追加事業が2件が採り上げられ実行されました。

本年度のもうひとつの新規事業である、「ソーシャルワーカーのスキルアップを目指す実践セミナー」は5月と10月に東京と山口でそれぞれ開催され、予想以上の参加者がありました。また、本年度の特別プロジェクトとして、日本死の臨床研究会年次大会に合わせてアメリカからグリーフ(悲嘆)ケア研究の第一人者であるロバート・ニーマイヤー教授を招聘し、ワークショップと講演を開催しました。

継続事業としては、財団設立以来、毎年欠かさず実施している調査研究事業(5件)やホスピス・緩和ケアフォーラムのほか、ホスピス・緩和ケア教育セミナー、ホスピス・ボランティア研修、医学生の緩和ケア教育のための教員セミナー、ホスピス・緩和ケア病棟師長のための教育セミナー等を実施しました。特に、2002年度(平成14年度)以来継続している実践セミナーは、従来の年間2箇所から年間3箇所に増やして実施することができました。

4年前から継続している『ホスピス・緩和ケア白書』は本年度も刊行・配布、他に『ホスピス・緩和ケア専従医のための自己学習プログラム』や、遺族支援冊子『これからのとき』を刊行しましたが、いずれも予想以上の配布希望者を見ることができました。<財務概況参照>

各事業の活動内容について下記の通りご報告申し上げます。


   
1.  ホスピス・緩和ケアに関する調査研究事業
2.  ホスピス・緩和ケアフォーラム開催事業
3.  ホスピス・緩和ケア教育セミナー開催事業
4.  緩和ケア実践セミナー開催事業(緩和ケア教育研修助成事業)
5.  ホスピス・ボランティア研修事業
6.  APHN(Asia Pacific Hospice Palliative Care Network)支援事業
7.  医学生の緩和ケア教育のための教員セミナー助成事業
8.  グリーフケア・ワークショップ2006 開催助成事業
9.  ホスピス・緩和ケア病棟師長のための教育セミナー開催事業
10.  STAS(Support Team Assessment Schedule)ワークショップ開催事業
11.  スピリチュアルケア援助プロセスのワークショップ開催事業
12.  『ホスピス・緩和ケア白書 2007』 刊行配布事業
13.  『ホスピス・緩和ケア専従医のための自己学習プログラム』研究・刊行事業
14.  一般広報活動事業
15.  遺族によるホスピス・緩和ケアの質の評価に関する研究事業
16.  ソーシャルワーカーのスキルアップを目指す実践セミナー開催事業
17.  遺族支援のための情報提供事業
18.  特別プロジェクト・国際セミナー支援事業
19.  福岡ホスピスフォーラム(世界ホスピスデーにちなんで)助成
20.  『グリーフセラピーと意味の再構築』 刊行・配布
             



[事業活動]

1.ホスピス・緩和ケアに関する調査研究事業

調査・研究事業は財団設立当初から、財団の事業の中心的柱の一つとして継続実施してきており、本年度からは公募によっています。本年度実施した調査・研究事業5件のうち(1)(3)(5)は前年度からの継続、(2)(4)は本年度新規に採用されたものです。これらの調査・研究論文は、追って刊行配布するとともに、財団のホームページに掲載を予定しています。

  調査・研究課題 主任研究者
(1) 日本人遺族に応じた遺族ケアのあり方に関する研究

関西福祉科学大学健康福祉学部講師
坂口幸弘
(2) 緩和ケアにおける代理評価尺度STAS-JS症状版の作成と評価者間信頼性の検討
東京大学大学院医学系研究科・助手
宮下光令
(3) 緩和ケアのための標準カルテ・フォーマットの作成

ピースハウス病院 非常勤看護師
前山悦子
(4) 新臨床研修制度における緩和医療教育プログラムの作成と提言

京都大学医学部付属病院老年内科・助手
西岡弘晶
(5) Staff grief and support system for Japanese health care professionals working in Palliative care

モナシュ大学看護学科講師
下稲葉かおり



2.ホスピス・緩和ケアフォーラム開催事業

ホスピス・緩和ケアについての正しい理解を、医療従事者及び一般市民の方々に深めて頂くために、講演とシンポジウムを軸としたプログラムで、2001年度から毎年、全国の各都市で開催してきており、今回の宮崎市は19番目の開催地となります。




時: 2007年3月10日(土)
場: 宮崎市民プラザ・オルブライトホール
内 容:
  第一部 −音楽と講演−
  音  楽:森  裕理
基調講演:柏木 哲夫(金城学院大学学長、財団理事長)
   
 第二部 −シンポジウム「それぞれの立場から考えるケア」
  司 会 :井田 栄一(熊本ホームケアクリニック院長)
シンポジスト:横山 晶子(三州病院 緩和ケア病棟 医師)
那須 聡子(訪問看護ステーション なでしこ2号館 看護師)
橘  直子(山口赤十字病院 ソーシャルワーカー)
ほかに遺族の立場から
参加者: 315名



3.ホスピス・緩和ケア教育セミナー開催事業

ホスピス・緩和ケア従事者を対象に、より一層高い専門性の確立を目指して、講義と少人数に分かれてのワークショップで構成する。2002年度からの継続事業で、2005年度以降は参加希望者の増加に応えるため、年2回開催しております。

(1)第1回

時: 2006年9月30日(土)〜10月1日(日)
場: 昭和大学横浜市北部病院
講 師:

高宮 有介(昭和大学横浜北部病院 講師)
恒藤  暁(大阪大学大学院 教授)
二見 典子(ピースハウス病院 看護師)
河  正子(東京大学大学院医学系研究科緩和ケア看護学分野 客員研究員)
余宮きのみ(埼玉県立がんセンター 医師)
清水麻美子(埼玉県立がんセンター 看護師)
前野  宏(札幌南青洲病院 院長)
田村 里子(東札幌病院 MSW)
田村 恵子(淀川キリスト教病院 看護師)
茅根 義和(日本赤十字社医療センター 医師)
梅内美保子(日本看護協会看護研修学校)
大嶋健三郎(昭和大学病院 医師)
橋本  信(昭和大学病院 医師)



(2)第2回

時: 2007年3月3日(土)〜3月4日(日)
場: 昭和大学横浜市北部病院
講 師:

高宮有介(昭和大学横浜北部病院 講師)
恒藤  暁(大阪大学大学院 教授)
堺  千代(函館おしま病院 看護師)
馬場 玲子(筑波大学病院 看護師)
二見 典子(ピースハウス病院 看護師)
河  正子(東京大学大学院医学系研究科
緩和ケア看護学分野 客員研究員)
余宮きのみ(埼玉県立がんセンター 医師)
中西 真里(在宅看護研究センター 看護師)
木澤 義之(筑波大学病院 医師)
清水麻美子(埼玉県立がんセンター 看護師)
前野  宏(札幌南青洲病院 院長)
田村 里子(東札幌病院 MSW)
田村 恵子(淀川キリスト教病院 看護師)
茅根 義和(日本赤十字社医療センター 医師)
川村美希子(北海道医療大学 看護師)
梅内美保子(日本看護協会看護研修学校)
大嶋健三郎(昭和大学病院 医師)

参加者: 51名


4.緩和ケア実践セミナー開催事業(緩和ケア教育研修助成事業)

ホスピス・緩和ケア専門従事者以外の一般病棟、地域のクリニックの医療従事者、訪問看護師の方々に緩和ケアを学ぶ機会を提供するため、当財団が刊行配布した『がん緩和ケアに関するマニュアル改定第2版(厚生労働省・日本医師会監修)』を教材として緩和ケアの実践セミナーを開催。2002年度に東京で第1回を開催、以後年1〜2回開催してきたが、本年度は3都市で開催することができました。



(1) 宇都宮市
時: 2007年1月27日(土)
場: 栃木県総合文化センター
プログラム:
    「痛みのマネジメントの基本と実際」

下山 直人(国立がんセンター中央病院)
  「痛み以外の身体症状のマネジメントのエッセンス」
志真 泰夫(筑波メディカルセンター病院)
  「がん患者の特徴と緩和ケア」

武田 文和(埼玉医科大学)
  「患者さんの精神的ケアのエッセンス」
大西 秀樹(埼玉医科大学)
  「緩和ケアチームのエッセンス」

江連 久子(栃木県立がんセンター)
参加者: 369名


(2) 盛岡市
時: 2007年1月27日(土)
場: アイーナ岩手県民情報交流センター
プログラム:
    「痛みのマネジメントのエッセンス」

佐藤  朗(岩手県立中央病院)
  「精神的ケアのエッセンス」
菊池  功(カトリック新潟区司教)
  「緩和ケアにおけるチームアプローチについて」

橋爪 隆弘(市立秋田総合病院外科医長)
  「本人の意思の尊重と家族ケア」
中山 康子(NPO法人在宅緩和ケア支援センター“虹”)
  「痛み以外の症状マネジメントのエッセンス」

佐藤  智(県立磐井病院緩和医療科長)
参加者: 527名


(3) 名古屋市
時: 2007年2月17日(土)
場: 愛知県がんセンター国際医学交流センター
プログラム:
    「緩和ケアとは何か」

柏木 哲夫(金城学院大学学長)
  「痛みのマネジメントで守るべき基本と実際」
下山 直人(国立がんセンター中央病院)
  「痛み以外の身体的症状のマネジメントの基本と実際」

志真 泰夫(筑波メディカルセンター病院)
  「緩和ケアにおける精神的ケアのエッセンス」
明智 龍男(名古屋市立大学大学院医学研究精神・認知・行動医学分野助教授)
  「日常生活援助と家族ケアのエッセンス」

田村 恵子(淀川キリスト教病院ホスピス主任看課長)
参加者: 322名



5.ホスピス・ボランティア研修事業

ホスピス・緩和ケア病棟のボランティアの方々に質の向上の機会を提供する目的で、日本病院ボランティア協会との共催で2002年度以来継続して開催。本年度は広島市と盛岡市で、講義とワークショップで構成された地域研修会を開催しました。

(1)広島市
時: 2006年5月31日(水)
場: 広島県立生涯学習センター ぱれっと ひろしま
プログラム:
講 演: 「地域に広がる緩和ケア」〜広島県緩和ケア支援センターの取り組み〜
師: 本家 好文(広島県緩和ケアセンター・センター長)
  事例発表とワークショップ
参加者: 106名

 

(2)盛岡市
時: 2006年6月10日(土)
場: 岩手県立中央病院
プログラム:
講 演: 「ホスピス・緩和ケア −どう理解しケアするか−」
師: 清水 千世((財)慈山会医学研究所付属 坪井病院 ホスピス病棟看護課長)
  事例発表とワークショップ
参加者: 68名



6.APHN(Asia Pacific Hospice Palliative Care Network)支援事業

Asia Pacific Hospice Palliative Care Network、Singapore のアジア・太平洋地域におけるホスピス・緩和ケアの普及・啓発活動を支援する事業で、2006年度はAPHNの Executive Director がモンゴル、インドネシア、台北、中国、フィリッピン、インドの各地で講演、実地指導などの活動を支援しました。




7.医学生の緩和ケア教育のための教員セミナー助成事業

医学生の緩和ケア教育の向上を目指して、大学の緩和ケア教育に携わる教員のための「大学病院の緩和ケアを考える会」による模擬授業プログラムなども含む2日間にわたるセミナーを助成。




時: 2006年10月21日(土)〜22日(日)
場: 昭和大学横浜市北部病院
講 師:

大西 弘高(東京大学医学教育国際協力センター 講師)
白土 辰子(東洋英和女学院 教授)
黒子 幸一(秦野メディカルクリニック 院長)
田仲  曜(東海大学医学部外科学系消化器外科 医師)
高宮 有介(昭和大学横浜市北部病院 講師)
斉藤 真理(横浜市立大学医学部付属市民総合医療センター 准教授)
木下 優子(日本大学板橋病院 医師)
大島健三郎(昭和大学病院 医師)
藤田 智子(日本大学板橋病院 看護師)
村井 美華(北里大学医学部 医師)
杉原 正子(山梨大学医学部 医師)
福山 貴子(佐賀大学医学部 医師)




8.グリーフケア・ワークショップ2006 開催助成事業

栄光ホスピスセンター(福岡)がオーストラリアから講師を招き、グリーフケアの研修会を開催するプログラムを、2004年度から継続して助成している。

講師:リンダ・エスピー(グリーフカウンセラー)

(1)グリーフケア・ワークショップ2006 Summer

            入門:2006年7月29日(土)
           参加者:48名
  中級:2006年7月30日(日)〜8月1日(火)
           参加者:30名
  上級:2006年8月3日(木)〜4日(金)
           参加者:33名
会 場: 福岡国際会議場 及び 特別医療法人栄光会 栄光病院

(2)グリーフケア・ワークショップ 2007 Winter

            入門:2007年1月18日(木)
           参加者:70名
  中級:2007年1月19日(金)〜21日(日)
           参加者:32名
  フォローアップ:2007年1月23日(火)〜24日(水)
           参加者:25名
会 場: 福岡国際会議場





9.ホスピス・緩和ケア病棟師長のための教育セミナー開催事業

ホスピス・緩和ケア病棟の病棟師長が現場で直面する病棟運営上の課題を互いに共有し、問題の中心課題を明確化することを目標に、昨年度からスタートしたプログラムである。本年度の企画はスタッフのストレスに対するケア、スタッフの教育プログラムの構築に焦点が当てられた。




時: 2006年12月8日(金)〜9日(土)
場: アルカディア市ヶ谷
講 師: 手島  恵(千葉大学大学院看護学研究科 教授)
田村 恵子(淀川キリスト教病院 看護師)
河  正子(元東京大学大学院 講師)
二見 典子(ピースハウス病院 看護師)
参加者:

32名




10.STAS(Support Team Assessment Schedule)ワークショップ開催事業

英国で開発されたケアの評価方法であるSTASの日本語版(財団で刊行)を用いて、ケア従事者を対象に「毎日のケアを見直すための演習と講義」のワークショップを昨年同様、2回開催しました。なお、STAS日本語版は財団のホームページからリンク可能になっています。

(1)2006年9月23日(土)アクトシティ浜松 参加者: 84名
(2)2006年11月5日(日)大阪国際会議場  参加者:240名



11.スピリチュアルケア援助プロセスのワークショップ開催事業

昨年度に続き、緩和ケアに携わる医師、看護師などの医療従事者を対象に、定式化されたスピリチュアルケアの援助プロセスについての演習を2会場で実施しました。

講 師:村田久行(ノートルダム女子大学人間科学部 教授)

(1)2006年10月8日(日)大分市 コンパルホール 参加者:54名
(2)2007年 1月8日(月)横浜市 ウィリング横浜 参加者:78名

 



12.『ホスピス・緩和ケア白書 2007』 刊行配布事業

2003年度以降、毎年刊行している白書で、今回は「緩和ケアにおける専門性−緩和ケアチームと緩和ケア病棟−」をテーマとした論文が中心となっています。2007年3月刊行(2,100部)、うち現在までに1,500部配布済みです。



13.『ホスピス・緩和ケア専従医のための自己学習プログラム』研究・刊行事業

3年に亘る研究成果が稔り、2006年7月に刊行(1,000部)・配布の運びとなりました。24名の研究者による共同執筆で、「ホスピス・緩和ケアの歴史と現状」から始って、「臨死期の諸問題」まで21のModuleに分類された諸問題とそれぞれの解答が記載されたホスピス・緩和ケア専従医のための自己学習プログラムで、本年度中に財団のホームページにも掲載されました。

 


14.一般広報活動事業

ホームページ改訂、財団ニュース第11号発行(10月)、財団パンフレット改訂印刷。

 


15.遺族によるホスピス・緩和ケアの質の評価に関する研究事業

ホスピス・緩和ケア協会会員の病院を中心に、ホスピス・緩和ケア病棟でケアを受けた患者の遺族に、その受けたケアの満足度についてのアンケート調査を実施するプログラムで、複数年度に亘る予定。本年度はアンケート実施予定先施設の倫理委員会の承認取得等に予想以上の時間を要したことなどもあって、当初の予定作業段階まで進めなかったが、次年度早々にはアンケート実施に至る予定で進捗している。




16.ソーシャルワーカーのスキルアップを目指す実践セミナー開催事業


ソーシャルワーカーのスキルアップを目指しての実践セミナーを東京と山口で開催。「がん患者・家族の心理社会的ニーズのためのアセスメントとその支援」をテーマに、緩和ケア領域対象者理解のためのオンコロジー講座や仮想事例をもとにしたロールプレイ等を含む実践セミナーで、定員を上回る申込がありました。


(1) 2006年 5月14日(日)
  国立がんセンター(東京)
  参加者:56名
(2) 2006年10月29日(日)
  山口ぱるる(山口市)
  参加者:50名


17.遺族支援のための情報提供事業

昨年度に原稿が完成した遺族のためのグリーフケア支援冊子『これからのとき』を刊行・配布(9月)。当初、3,000部を配布したが、好評で、追加要望に応えるため合計8,000部を印刷、其の殆どを配布しました。






18.特別プロジェクト・国際セミナー支援事業

2006年11月3〜5日に大阪国際会議場で開催された第30回日本死の臨床研究会年次大会の特別プログラムとして企画されたロバート・A・ニーマイヤー教授(メンフィス大学心理学部)による「グリーフセラピー・ワークショップ」と特別講演「喪失、悲嘆、そして意味の探求」の実施を当財団が助成しました。大会参加者 2,800名。







19.福岡ホスピスフォーラム(世界ホスピスデーにちなんで)助成

栄光ホスピスセンター(福岡)が、「世界ホスピスデー」にちなんで企画した福岡ホスピスフォーラムを助成。

日 時: 2006年9月30日(土)
会 場: 福岡国際会議場
講 師: 柏木 哲夫(金城学院大学学長、財団理事長)
  沼野 尚美(六甲病院チャプレン・カウンセラー)
参加者: 122名



20.『グリーフセラピーと意味の再構築』 刊行・配布


上記「18.特別プロジェクト・国際セミナー支援事業」のロバート・A・ニーマイヤー教授の講演を記録・翻訳した冊子を作成(1,000部)。