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(2011年7月1日~)
事業の紹介
ホスピス財団の2015年度事業の紹介 その1


1.ホスピス・緩和ケアに関する調査研究事業(公募)

 2015年度の多施設共同研究として公募申請された9件について、事業委員会において審査した結果、次の3件が採択された。(公募制度10年目)

(1)ELNEC-Jコアカリキュラム看護師教育プログラム受講によるエンド・オブ・ライフ・ケアに関する看護実践の変化

(2)がん患者に対するインターネットを用いたマインドフルネス認知療法の実施可能性研究

(3)終末期がん患者の感染症診療に関する医療者の意向と、意向の差異に繋がる要因を同定する研究


2.遺族によるホスピス・緩和ケアの質の評価に関する調査研究事業(第3次調査・4年目)

 同名の調査研究事業の第1回目(J-HOPE1)は2006年度~2008年度の3ヵ年に亘って実施され、引き続き、2009年度~2011年度に第2回目(J-HOPE2)が実施された。これらは世界的に最大規模かつ質の高い研究として国際的にも評価されている。本研究は定期的に緩和ケア病棟の質の評価を行い、それを各施設にフィードバックすることにより質の改善を促すというものである。今回、在宅ホスピス・緩和ケア施設を含め第3次調査研究が企画された。2012年度(初年度)に研究プロトコルが策定され、2013年度は本研究と付帯研究(27件)の研究計画書、調査票の作成が行われた。2014年度は、本研究では185施設、約15,000名を対象に調査票による実調査が行われた。2015年度は、この調査結果の解析と報告書J-HOPE3を作成し公表する予定である。


3.『ホスピス・緩和ケア白書 2016』(研究論文集+データブック)作成・刊行事業

  『ホスピス緩和ケア白書』として、2014年度版まで下記の11冊を刊行・配布している。
 引き続き、2015年度版を計画している。

2004年 ホスピス緩和ケアの取り組みの概況
2005年 ホスピス緩和ケアの質の評価と関連学会研究会の紹介
2006年 緩和ケアにおける教育と人材の育成
2007年 緩和ケアにおける専門性 ~緩和ケアチームと緩和ケア病棟~
2008年 緩和ケアにおける医療提供体制と地域ネットワークの状況
2009年 緩和ケアの普及啓発・境域研修、臨床研究
2010年 緩和ケアにおけるボランティア活動とサポートグループの現状
2011年 がん対策基本法とホスピス緩和ケア
2012年 ホスピス・緩和ケアに関する統計とその解説
2013年 在宅ホスピス・緩和ケアの現状と展望
2014年 緩和ケアにおける専門医教育の現状と課題&学会・学術団体の緩和ケアへの取り組み
2015年 緩和デイケアサロン (2015年3月発行予定)


4.非がん疾患の終末期医療の実態に関する調査

  日本では非がん疾患の終末期での緩和ケアに関する調査が少ない。本研究では、非がん疾患への緩和ケア、専門的緩和ケアの提供などに関する調査を行い、日本における今後の非がん疾患の終末期医療の方向性を考える上での有用なデータを集積する。初年度は、非がん疾患の絞込みなどの研究プロトコルを検討する会議を開催し、対象疾患を限定する調査と、疾患を限定せず医師の専門性などを限定した調査が検討された。2015年度は
①非がん疾患に関わる総合診療専門医の緩和ケアに知識、信念、態度に関する調査と
②緩和ケア・アプローチが必要な患者、家族を同定するために諸外国で使用されているツールの日本語版の信頼性、妥当性を検証する。
3~4年間の継続研究を計画している。


5.がん診療拠点病院の緩和ケアチームの基準2015年度版の作成

 2007年に施行されたがん対策基本法ならびにがん対策推進基本計画により、全国すべてのがん診療拠点病院に緩和ケアチームの設置が義務付けられ、緩和ケアチームの基準が作成された。同基準は日本緩和医療学会の緩和ケアチームの基準としても利用されている。しかしながら、2012年に改定された第2期がん対策推進基本計画と、それに基づいて見直された拠点病院の認可基準において、緩和ケアチームの役割が大きく改訂されている。また、緩和ケアチームの新規コンサルテーションの数は年間5万人を超え、がん死亡者数の15%を占めるに至り、その活動の形態や役割も大きく変化してきている。
 そこで、本研究では、関係する専門家の意見を集約し、医学領域で広く使用されているデルファイ変法を用いて、がん対策推進基本計画や拠点病院の認定基準の変化、緩和ケアチームの役割の変化に対応できる、がん診療拠点病院の緩和ケアチームの基準の作成を行うことを目的とする。作成された基準は、緩和ケアのコンサルテーション診療の質の向上と標準化に寄与することが期待できる。


6.意思決定支援をめぐる患者・家族のニーズならびに課題の把握と、効果的な支援方法の検討

 がん治療・緩和ケアにおいて、患者・家族の意向に沿った療養生活・ケアを実現する上で、意思決定支援の重要性が様々な観点から指摘されている。しかし、患者・家族が療養を決めるに際して実際はどのように判断をしているのか、どのような点に不満を感じ改善を望んでいるのか等に関する情報が明らかになっていない。今後、多職種が患者・家族の支援を検討していく上で、その現状を明らかにし、支援を具体化する方向性を共有する必要がある。
 そこで、本調査では、がん治療や緩和ケアの療養方針決定プロセスやその結果への満足度、今後の療養への不安、医師・医療職への信頼感を「意思決定支援のアウトカム」と定義し、患者・家族に対するインタビュー調査や量的調査により、関与する要因を理解すること、および多職種支援の観点から、各職種が患者家族の納得、満足を高めるために、どのような取り組みを行うべきかを、多職種によるワークショップを通して整理することを目的とする。